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ペイドメディアとしてのデジタルメディアの可能性。企業はこの大転換にどう向き合うか

2015/10/15 8:00:50

先日、楽天マーケティングジャパン事業長 濱野斗百礼さんとの対談を無事終え、Markezineさんで記事を掲載いただきました。

「データを活用して利用者に寄り添った情報の提供を進めたい」メディアカンパニー楽天が目指す姿とは?

いわゆる大規模デジタルメディアとしての立ち位置や、今後の戦略などがうかがえて、非常に面白かったのですが、同時にいくつか今後のデジタルマーケティングを考える上で重要なテーマも浮き彫りになった対談でした。また本対談シリーズの骨子を改めて考えることにもつながりました。

特に重要だなと思ったのは次の2点。

  • デジタルメディアのマス化
  • デジタルメディアとオウンドメディアの境界

本記事の前に、対談の前提になったこれまでのトリプルメディアの立ち位置と、これからのあり方について表した図を掲載します。本記事を読むにあたって、ぜひ参照しながら、どことどこが連携の可能性、対立の可能性があるのか、イメージしてみてください。

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深くリーチできるデジタルメディア。一方でマスメディアのこれからは?

ここでいう「デジタルメディア」とは、主に「ペイドメディア」としてのデジタルメディアを指しています。

まずマス化についてですが、数百万・数千万のユーザにリーチできる基盤がデジタルメディアにもう既にある、という話なのですが、さらに例えば楽天であれば、購買データも紐付けてユーザを眺めることができるということでもあります。

マス的な使い方もできるが、それだけでなく、より濃いリーチを生み出すための基礎データもしっかり持ってますよ、ということですね。

このボリュームで購買データが有れば、確かに拡張させることも新たなターゲット層を発見していくこともできるようになっていくでしょう。そう考えると、果たして既存のマスメディア(というかもはやTV CMと言い換えてもいいかもしれませんが)の存在意義はどうなってくるのか?

もちろんこの話題は、僕が言うまでもなく業界人間ベムさんのブログなどでもよく出てくる話題で、いずれはデジタルメディアがマスメディアを凌駕するという観測は常にあるわけですが、濱野さんのお話を聞いていると、もうすぐそこまで来ているなという感覚によりリアリティが出てきます。

もちろん大手広告代理店をはじめ、既存マス側でも対処の動きはあるでしょうけれど、イノベーションのジレンマがまさに当てはまるところなので、なかなか対応は難しいのではないか?と個人的には思います。今回の対談では残念ながら既存マスサイドな方との対談の場は予定していなかったのですが、機会があればぜひ話を聞いてみたいところです。

オウンドメディアでペイドメディアの境界線とデータ連携

もう1つがオウンドメディアとの境界線の話。

デジタルデータであるということで考えれば、オウンドメディア側にデータをうまく受け渡して連携しましょうという絵になるのかとおもいきや、楽天さんの場合はなかなかそう簡単にデータを渡すわけではなさそう。

これはおそらくは他媒体でも同様だと思います。ペイドメディア側のプラットフォーム上での施策にはデータを活用できても、外部にデータを引き渡したりはなかなかしませんよ、というスタンスです。

これはオウンドメディアの運営者となる広告主側からしても悩ましいところで、自社でデータが欲しい一方、それを活用できる人的リソースが必ずしも十分でないという現状もあると思います。そうなると「うーんじゃあ任せてもいいかな」というように思うケースもたしかにありそうです。

ただ長期的な視点で見れば、広告主としても自分でデータを抱える方向に行きたいと思うでしょうから、ペイドメディア側からデータが受け取れないというのはストレスになるでしょう。

そうなると、そこでもせめぎ合いが出てくることになります。ペイドメディア側は「もっとうちのデータ活用したほうがいいでしょ、自社で運営できないしデータボリュームもそんなに大きくならないし。でもデータは渡さないけど」となりますし、広告主側は「人に大事なデータを渡したっきりになってしまうのは嫌だ、でも現実問題としてすぐには活用できないしリーチも必要」ということで、広告主側の対応スピードでここは大きく変わってきそうです。

自社でデータの収集と活用ができる広告主は、それができないライバルに対してデジタルデータの利活用で差別化を図ることができるでしょう。ただ自社でやろうとしたけどリソースを揃えきれなかった場合は、実はデジタルメディア側に任せたほうがよかったということにもなりかねません。

さらに言うと、ここは次回の対談にもつながってくるのですが、マーケティングソリューションのベンダーの立場も出てきます。ベンダーの立場は広告主サイドにあって、広告主が自分でデータの利活用ができる領域を広げていくのが商売です。

ですから必然的にこういう大規模デジタルメディアとは対立構造が生まれることになります。ベンダーサイドとしてもデータ連携ができなければ、自分の領域が大規模デジタルメディアに侵食されることになりますから、いかに素早く広告主側に力をつけてもらって押し返してもらうかということが重要になってきます。

さらに俯瞰して、広告主、そしてユーザの視点で、ハッピーを考える

ここに、じゃあ広告主としては一体どっちがハッピーなんだという視点もあります。デジタルデータがあれば良さそう、というのは反対する人はいないと思いますが、一方で本当に良いのか、ROIは合うのか、具体的には何に活用できるのか、と言った点で明確な答えが出ている現状でもありません。そんななかでどこまでデジタルへの投資に踏み切れるのか?自社でデータを抱えて活用する方向に進む意思決定をするのか?かなり大きな分かれ道になってきそうです。

そして最後になってしまいましたが、最も重要な事としては、ユーザの視点です。

ユーザとして最もハッピーになるのはどういう状態なのか?楽天に行けばすべて済むような、広告主とのいい出会いも生まれるようなそういう世界がいいのか、オウンドメディア側にしかない情報や広告主ならではのもてなしがあるような世界が良いのか。

いずれがよいとも言い切れないわけですが、少なくともこの5年位はこうした対立構造に決着はつかない気がします。

Sprocketとしては、企業のおもてなしプラットフォームとしての立ち位置です。ですから、このようなバランス関係で言うと広告主に力をつけてもらう側の立場になります。

ユーザに対して自社の製品・サービスについて、ちゃんとおもてなしをするインセンティブが一番あるのはその製品・サービスを提供する広告主側になりますから、そこがダイレクトに発揮できるようなプラットフォームを提供していくべきという考えです。

大規模デジタルメディアはそこまではカバーできないでしょうから、あくまで関心のきっかけ作りという立ち位置にフォーカスするのがユーザ的にはいいのではないかと思います。

本対談は、この後ベンダーサイド、広告主サイドとの対談を予定しています。この辺に切り込んで彼らの考え方をしっかり吸い上げて面白い記事にもできるようにしていくつもりですので、次回をお楽しみに!

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Topics: デジタルマーケティング, 対談