Sprocket 公式ブログ

開発者を直撃!Web接客を自動化するAI機能「Autosegment」の過去・現在・未来

2017/08/08 9:00:11

Sprocketでは、Web接客を自動的に最適化するAI機能「Autosegment」を2017年5月にリリースしました。この機能はWeb接客シナリオを表示すべき相手を機械学習により判別して、シナリオの出し分けを行います。すでに、Sprocketの既存クライアントの実環境にて運用を開始しています。

https://www.sprocket.bz/4421/

今回は、AI機能の開発を担当する森下健、シナリオの設計を担当するプロデューサの馴松直樹、そして代表取締役の深田浩嗣の3人の対談の様子をお届けします。

Autosegmentの可能性に興味津々 Autosegmentの可能性に興味津々

Autosegmentを使わない場合に比べて効果は?

深田:現在AI機能のAutosegmentを導入状況はどうですか?

森下:ピザハット様、ワコール様、ティーライフ様などに導入しています。Autosegmentを使わない場合と比べると、やや効果が高く「勝っている」状態です。

ピザハット様ではピザの購入フローにある人にトッピングをおすすめするというシナリオを実施していますが、Autosegmentを使わないでシナリオを表示した場合に比べて、トッピングする率が高くなっています。

このシナリオは他のシナリオより効果が高めに出ているのですが、仮説としてはすでに購入を決めている人へのトッピングをすすめるので、普通の購入と比べて心理的ハードルが低いことがあると考えています。

深田:購入よりも、会員登録、メルマガ登録などのKPIのほうが効果がでやすいと。他にも展開できそうですね。開発にあたって苦労したところは?

森下:データが少ないところは苦労しますね。現在導入している企業様はデータ量が多いので進めやすいですが、今後はデータ量が多くないお客様に対しても効果を検証していく必要があります。

深田:データが少ないとなぜ大変なんですか?

森下:単純に、勝ち負けの判定ができないからです。本当に結果通りにとらえていいのか、偶然なのかを判断するにはある程度のデータ量が必要です。

データ量がとても重要だと森下 データ量がとても重要だと森下

Autosegmentで、パーソナライズしたWeb接客を実現


深田:
バンディットアルゴリズムと比べてどうですか?

森下:
バンディットアルゴリズムは、AとBがあったときにどちらか優れている方に収束させていく手法です。それに対してAutosegmentは、ユーザ毎にAとBを出し分けます。仕組みは違いますが、Autosegmentの方が多くのことができますし、さらに超えていく可能性はありますよ。

深田:ピザハットさんのシナリオが勝っている仮説として、シナリオの心理的ハードルが低い、という話でしたが、そこをもう少し詳しく。

森下:ユーザーの行動を変えようとするのがシナリオです。ユーザーに影響を与えないシナリオだったら、どれだけ最適化しても効果は出ません。ゴールに対するシナリオの強さが重要ですね。

馴松:ピザハット様のトッピングのシナリオは当初ゴールを購入にしていました。その当時はAutosegmentの効果が見えませんでした。しかし、そもそもシナリオの内容とゴールがずれているということで、トッピングによる追加購入があることをゴールにして、調整したところ、成果が出るようになりました。Web接客のシナリオとゴールの設計という基本が大事ということを改めて感じました。

深田:Autosegmentによって、シナリオのバリエーションや作り方が変わるのではという仮説が当初ありましたが、実際はどうですか?

馴松:成功しているシナリオでパターンを増やしていくと効果が出そうです。単価を上げるシナリオのパターンを複数用意して、Autosegmentで自動的に出し分けるということですね。人によっては、トッピングではなくて、ピザの生地を選んでもらう、サイドメニューを勧めるなど、いろいろ考えられます。

深田:購入単価アップをゴールにした複数のシナリオから、Autosegmentがシナリオの出し方を最適化するということですね。それはおもしろいね。

その人に合わせたオススメパターンが見つかればレコメンドエンジンを超えるのでは。

実装に苦労はなし。本当のハードルはこれから

深田:苦労したポイントはありますか?

森下:最初からAutosegmentをイメージしていました。入社する2年前から、やればできるのにと思っていました。入社の経緯にもなりますが、データがある、やるべきこともわかっている、事業にも役立つ、ということがわかっていましたから、やらない理由がありませんでした。イメージを形にする作業はそれほど大変ではありませんでした。むしろ、大変なのはこれから。どうやって成果を出していくかが一番高いハードルになりそうです。

深田:ここまでスムーズに開発が進んだ理由は?

森下:プラットフォームとしてユーザーの行動データがきれいに格納してあり、開発段階で色々な案件データをすぐに利用できたことが大きいです。データの入手に関して障害がなかったので、2−3ヶ月で実装は完了しました。プラットフォームで元々リアルタイムに集計しているユーザ毎のデータを元に推論するので、この機能はスプロケットの良さを活かせていると思います。

深田:現在の機械学習は、深層強化学習と呼べるのですか?

森下:強化学習は、環境の中を泳いでいくようなイメージですが、スプロケットの場合は泳がないで一発、一期一会の関係です。もちろん、前の日の結果を読み込んで次の日に活かすということはやっているので、その意味ではなんとなく強化学習と呼ぶこともできるとは思います。

さらにこのユーザーに前回はこのパターンを出したから次はこれ、というように時系列に考えるようにすれば、今より強化学習っぽいといえるかもしれません。ただし、それが実際に効果があるかどうかはまた別の話になります。

マーケティングにAIを使う難しさ。だからこそおもしろい

深田:これからが大変だという理由は?

森下:シナリオごとに、お客さんも違いますし、時期による影響もあります。乱数的ないたずらが多く、調整が難しいですね。将棋や囲碁のようなゲームであれば、範囲が限られていますが、人間がどう動くかという事に関する絶対的な答えはないので、エキスパートでも間違えることもあれば、偶然にうまくいくこともあります。ここがマーケティングでAIを使うことの難しさであり、おもしろさでもあります。

これからのシナリオ設計にも蜜に関連すると馴松 これからのシナリオ設計にも密に関連すると馴松

深田:今後の進化の方向性は?

森下:機械学習による自動化をセグメントによるシナリオの出し分けだけでなく、タイミング、表示条件、表示場所などいろいろ拡大できそうです。

他に、AIの中身を覗けるような付属サービスがあっても面白いかなと思います。

深田:中身を覗くとは?

森下:なぜこのセグメントに出すことになったのか、どう考えたのかというような履歴がわかれば価値になるのでは、ということです。将棋では、次の手の候補が表示されますが、最強の一手ではなくても打ち手の可能性を示唆することは新しい視点をくれます。Autosegmentなら、こういう条件で分類して出し分けている、というのが見せられると思います。

馴松:プロデューサの立場としても、正解はわからなくても、どういう人に何を出したのかがわかるのは単純におもしろいですし、シナリオを考える助けにもなりそうです。

深田:人間が分類パターンを見ることで新しい発見があるかもしれないですね。それは面白い。AIの判断よりも人間の判断を助けることになるかもしれない。

現状のAutosegmentの進化としては、世の中の動きや天気など外的要因を踏まえた出し分けの可能性は?

森下:例えばセール期間中はユーザーの動きが変わります。学習段階で過去のマーケティング施策の情報を与えておけば、購買行動を促進させるような出し分けができるかもしれません。いろいろなデータが蓄積されるほど、打てる施策は増えるので、継続が重要です。

深田:マーケティング施策のデータをスプロケットが取り込めるようにすれば、よりAIが賢くなるね。

どんな商品でも売れるカリスマ店員にAutosegmentはなれるか?

深田:今は案件単位でAIを導入しているけれど、将来的には横断的に使えるようにしたい。現実の店員さんでも、アパレルで活躍する人は家電も売れるというように、Web接客が気の利く店員さんになる可能性がありますよね。

森下:サイト毎に目的が違うので、横断的なものは難しいかもしれません。ただ、サイト間で共通するような単純な目的、例えばPV向上のようなものであれば、全サイトの共通知識として学ばせることはできそうです。それを基礎知識として、さらにそれぞれのサイトで学習していくようにはできるかなと思います。

サブタスクを学習した機械を統合して、本タスクを遂行するというモデルは最近多いので可能性はあります。有用な共通知識が得られれば、プラットフォームとしてネットワーク効果が期待できますね。

馴松:共通のタスクとして活用できるものが見つかればいいですね。アクティビティのラベル付けをしてデータを蓄積すれば見つかるかもしれないですね。

深田:AIの学習データを横展開できるようになれば、プラットフォームとしても一段階進化しますね。いろいろなタイプのサイトで使ってもらっているスプロケットだからこそできる進化だと言えるね。

キャラクター爆誕!あのSimon Oxley氏がデザイン

SprocketのAI機能を具現化したキャラクターを作りました。デザインは、Twitter、GutHubなどのキャラクター制作でおなじみのSimon Oxley氏が担当!深田が直接コンタクトして、イメージを伝えでき上がりました!以後、お見知りおきを!

Topics: デジタルマーケティング, 人工知能, 機械学習, エンジニアリング, ウェブ接客, AI