「思い込み」から「顧客理解」へ テイクアンドギヴ・ニーズのPDCA改革

申込み型サイトブライダル・レンタル

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ 様

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズは、日本にハウスウェディングという新たな結婚式のスタイルを提案し、市場を創出した企業です。一顧客一担当制での全館貸切ゲストハウスウェディングを全国で展開し、年間約12,000組の結婚式を手がけ、国内No.1の取り扱い組数を誇ります。今回は、マーケティング本部 広告宣伝部 オウンドチームのマネージャー 安達 智幸氏、斉藤 彬氏、浅尾 みどり氏に、デジタルマーケティングの取り組みについて詳しく伺いました。

イメージ:「思い込み」から「顧客理解」へ、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズのPDCAサイクル改革

一顧客一担当制が強みの全館貸切ゲストハウスウェディング

――貴社のウェディング事業の強みについて教えてください。

安達氏:当社の最大の特徴は、「全館貸切のゲストハウスウェディング」として結婚式専用の空間を提供している点です。一般的なホテルや専門式場などでは、同じ時間帯に複数の結婚式が同時に行われることがありますが、当社では一組のお客様だけのために会場もチャペルもガーデンも、スタッフも敷地内全てを完全に貸し切りにできます。

そのため、他のお客様を気にすることなく、会場の使い方や演出、進行などを自由にカスタマイズでき、自分たちだけの特別な空間を作り上げることができます。一般的な結婚式の形式や流れにとらわれず、お二人の希望や個性を反映したオリジナルな式を実現できる点が、多くのお客様にご満足いただいている理由です。

当社では、「ただしいよりも、たのしいを。」というメッセージを掲げています。営業担当と実際に式を担当するスタッフが分かれている分業制ではなく、最初に対応したスタッフが最後までお客様をサポートする「一顧客一担当制」をとっています。この体制により、打ち合わせから結婚式の当日まで一貫して信頼関係を築くことができる点も、当社の強みです。

一顧客一担当制が強みの全館貸切ゲストハウスウェディング

ミッションはブライダルフェアの申し込み数増加

――広告宣伝部オウンドチームのミッションや役割について教えてください。

安達氏:マーケティング本部の広告宣伝部は、主に3つのチームで構成されています。1つ目は、自社が運営するWebサイトなどの「オウンドメディア」を活用して集客やお問い合わせの獲得を担うオウンドチームです。

2つ目は、「ゼクシィ」などの外部ブライダル媒体への広告出稿を専門に行うペイドチーム。3つ目は、最近新設された、ブランドイメージの向上や大規模プロモーションを担当するチームで、T&G WEDDINGチームと呼ばれています。

私たちオウンドチームの主なミッションは、ブライダルフェアへの申し込み数を増やすことです。そのために、サイトのコンバージョン率(CVR)改善や、サイト機能の開発、SEO、SEM、SNS広告の運用など、幅広い業務を担当しています。

斉藤氏:私は主に、自然検索による流入の増加を担当しています。具体的には、SEO対策やGoogleマップのMEO改善に取り組んでいます。また、Sprocketにもご協力いただき、CVRの改善も進めています。

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ マーケティング本部 広告宣伝部 マネージャー安達 智幸氏

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ マーケティング本部 広告宣伝部 マネージャー安達 智幸氏

――SEO対策ではどのような取り組みをされていますか。

斉藤氏:流入に貢献しているキーワードには、「結婚式場」などの一般的なワードや、指名検索が多いです。一方で、SEO記事では、結婚を意識し始めたばかりの方など、より早い段階のお客様を対象にした「ロングテールキーワード」を狙っています。 例えば、「結婚式持ち物」「ブーケトスの代わり」など、具体的でニッチなキーワードです。

直近3ヶ月では、「ブーケトスの代わり」「プロポーズ指輪以外」「結婚式持ち物男性」「結婚での交際期間」などのキーワードで多くのクリックを獲得しています。これらのキーワードでサイトに訪れたお客様に、テイクアンドギヴ・ニーズの存在を知ってもらい、最終的にブライダルフェアへの申し込みにつなげることが重要だと考えています。

安達氏:つまりプロポーズの段階から結婚式を意識し始める方々に、早い段階で当社を認知してもらうことが理想です。SEO対策記事を通じて、結婚式を本格的に探し始める前のタイミングで接点を持ち、「そろそろ式場を探そうかな」と考えている層にもリーチできればと考えています。

――広告運用での効果が良かった事例について教えてください。

浅尾氏:リスティング広告では、「公式はベストレート保証でお得に」「公式限定プラン」「枠が残り少ない」といった、お得感を訴求する文言が効果的です。またニーズ青山ではリニューアル専用バナーとLPを作成し、MetaのInstagram広告を配信しました。会場の魅力が伝わる写真を前面に出し、「いかがですか?」と訴求したところ、これまで獲得できなかったコンバージョンを得ることができました。

さらに、会場の雰囲気が最も重要だと感じています。実際にInstagram広告でクリック率が高いものを分析すると、外観写真を使用している場合が多いです。お客様は「どんな場所なのか」「どんな建物なのか」「室内はどうなっているのか」といった情報を重視しており、そうしたビジュアルをしっかり見せることで、より多くのクリックを獲得できる傾向があります。

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ マーケティング本部 広告宣伝部 浅尾 みどり氏

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ マーケティング本部 広告宣伝部 浅尾 みどり氏

サイトリニューアルの必要性とツール選定の背景

――オウンドチームが抱えていた課題について教えてください。

安達氏:当社のWebサイトは、約10年前にスクラッチ開発で構築し、それ以来運用を続けてきました。その結果、サイト全体の構造が複雑化し、「どこにどんなページがあるのか」「ある部分を修正すると、どこに影響が及ぶのか」といった全体像を把握しきれなくなっていました。

例えば、10年前のキャンペーンページがそのまま残っていることに後から気づくなど、サイトの整理が行き届いていない状態でした。そのため、新しい施策を導入しようとしても、手を付けるべき箇所が分かりづらく、全体の最適化が難しい状況でした。

本来であれば、A/Bテストなどを積極的に実施してサイト改善を図りたかったのですが、当時利用していたWeb接客ツールも、特定のポップアップ表示など、限定的な用途にしか活用できていませんでした。

このような状況を受けて、サイト全体を一度リニューアルし、運用体制を見直す必要性を強く感じていました。しかし、リニューアル後もA/Bテストを円滑に回すためのリソースやスキルが十分ではなく、特に「人手不足」が大きな課題として残っていました。

このような背景から、サイトリニューアルを進めるにあたり、私たちの「人手不足」を補ってくれるサービスを探していました。Sprocketは、ツールの提供だけでなく、コンサルタントの方が伴走してサポートしてくれるというご提案だったので、そこが非常に魅力的でした。

機能面では、以前のツールとSprocketの間に大きな差は感じませんでした。前のサイト運用時も、高機能なツールを導入しても結局使いこなせないという課題があったため、機能面での比較よりも、人的サポートがあるという点が決め手となり、「ぜひ一緒にやらせていただきたい」と思いました。

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ マーケティング本部 広告宣伝部 マネージャー安達 智幸氏

リニューアル後に見えてきた新たな課題

――サイトリニューアルを進める中で、どのような課題が見えてきましたか。

斉藤氏:実際にサイトをリニューアルした後、さまざまな課題が明らかになりました。特に大きかったのは、サイトのデザインや文言へのこだわりを優先しすぎた結果、「お客様にとって本当に使いやすいサイトになっているのか」が分からなくなってしまったことです。

当社の思いやこだわりは随所に反映されましたが、実際にお客様の「お問い合わせをしたい」という行動につながっているかどうかは不明確でした。

このことから、サイトの主な目的である「お問い合わせの獲得」に立ち返る必要性を強く感じました。つまり、デザインやコンテンツがその目的に合致しているかどうかを、感覚ではなくデータに基づいて検証し、改善していくことが重要だと痛感しました。

そこで、第三者の客観的な視点を取り入れてサイトを分析、改善することの重要性を改めて認識し、Sprocketの協力を得て本格的な改善活動を始めることになりました。

Sprocketコンサルタント水谷:テイクアンドギヴ・ニーズ様は全国に60以上の会場を展開されていますが、会場ごとに段階的なリニューアルを進めてこられました。そこで私は、リニューアル済みの会場ページと未リニューアルの会場ページの比較分析をご提案し、実施いたしました。

株式会社Sprocket コンサルタント水谷 裕輔

株式会社Sprocket コンサルタント水谷 裕輔

Sprocketコンサルタント水谷:具体的には、ファネル分析やトップページのヒートマップ比較、指名検索からの流入時のCVR比較、N1分析など、さまざまな角度からリニューアル前後の効果を検証しました。また、定量的なデータだけでなく、より深いお客様理解のために、Sprocket社内のコンサルタントにも実際にサイトを体験してもらい、定性的な意見も集めました。

その結果、リニューアル後のトップページでは離脱率が高まっており、他のページへの回遊も十分に促せていないことが明らかになりました。

この原因としては、リニューアル後のサイトが「世界観を伝えること」や「トップページ内で情報が完結する構成」になっていた点が挙げられます。これ自体は決して悪いことではありませんが、お客様はまず自分が欲しい情報をすぐに得たいという傾向が強いことが、分析から見えてきました。

つまり、テイクアンドギヴ・ニーズ様が伝えたい世界観やページの回遊設計と、お客様が期待する行動との間にギャップが生じていることが分かりました。特に、ファーストビューからページ中間程度まで続く動画コンテンツについては、デザイン性は高いものの、UIの観点では社内コンサルタントからも「やや分かりづらい」という意見が出ていました。

リニューアルした計10会場の比較分析

リニューアルした計10会場の比較分析

Sprocketコンサルタント水谷:リニューアルにあたっては、好調な店舗と不調な店舗の要因分析についてもご依頼いただきました。まず、ピックアップされた不調店舗について調査したところ、前年同月比でセッション数は減少していないにもかかわらず、コンバージョン数が低いことが分かりました。

さらに詳しく分析すると、不調店舗では時間の経過とともにCVRが低下しており、「即決するお客様は多いが、比較検討を始めると他社に流れてしまう」という傾向が見られました。

一方で、好調店舗は主に都市部に多く、お客様の来訪回数が増えるほどCVRも向上するという特徴がありました。

追加で、同じエリア内の競合店舗と結婚式費用を比較したところ、不調店舗は最低価格が県内平均よりも高いことが判明しました。つまり、費用面で比較検討した場合、同エリアの競合会場の方が選ばれやすい状況にあったのです。

これらの分析から、「サイトの使い勝手や情報だけが課題なのではなく、競合と比較された際に価格面で不利になることが成約率低下の要因ではないか」という新たな仮説が生まれました。そのため、価格に見合う魅力をより強く訴求し、内容を比較した際に実はリーズナブルであることを伝えるなど、具体的な対策方針を立てることができました。

当初は「課題はサイト内にある」と考えていましたが、今回の分析を通じて外的要因にも目を向けることができた点は、思い込みから脱却できた良い事例だと感じています。

好調な店舗と不調な店舗の要因分析

好調な店舗と不調な店舗の要因分析

斉藤氏:第三者の視点でフィードバックをもらうことで、数値データから「この表現は良い」と言ってもらえれば自信につながり、「ここは違うのでは?」という指摘があれば、素直に修正しようという気持ちにもなれました。

自分たちだけでは気づけない点を指摘してもらえたことは、とてもありがたかったです。

リニューアルを経てPDCAサイクルの確立へ

――アンケートを活用したサイト改善について教えてください。

浅尾氏:サイトリニューアル後も、引き続きアンケートを活用して、どこに課題があるのかをお客様の声や行動データから把握するようにしています。実際にアンケートで得られた課題をもとにサイトの改修を行い、その後アンケートを再実施して改善の効果を確認しています。

こうした一連の流れを繰り返すことで、PDCAサイクルがしっかり回り始めたと感じています。

安達氏:このように、お客様の声に合わせて改善を重ねていく流れができれば、サイトは着実に成長していくと感じています。

私が以前在籍していた会社でも同じような経験がありましたが、実際にやってみて良かった施策はどんどん取り入れ、逆に効果がなかったものはすぐにやめる、といったスピード感のある対応ができるようになると、成果が大きく伸びていきます。

今回も、そうしたPDCAサイクルをしっかり回せたことが、サイト改善の大きな流れを生み出したと感じています。

サイト改善のためのお客様アンケートイメージ

サイト改善のためのお客様アンケートイメージ

ベストレート保証の認知有無における行動経路分析

ベストレート保証の認知有無における行動経路分析

ベストレート訴求で実現した驚異的なCVR向上

――アンケートで得られた課題に対する具体的な施策と成果について教えてください。

斉藤氏:最も大きな効果があった施策は、「ベストレート保証」の訴求でした。他の結婚式場紹介サイトやカウンターを利用すると、掲載料や紹介料がかかりますが、ベストレート保証では、公式サイトからブライダルフェアを予約すると、同じ内容の結婚式の場合、最もお得なプランのご案内を約束するというものです。

もともとベストレート保証の情報は、リニューアル以前からページ内に掲載していたので、「お客様は知っているだろう」と思い込んでいました。お客様も当然見ているはずだと考えていました。

しかし、アンケートでお客様の声を集めてみると、「ベストレート」という言葉自体を知らない方が多く、そもそもその情報に気づいていない方も多いことが分かりました。

「ベストレート保証の内容を見て、初めて魅力的だと感じた」という声もありました。そこで、ベストレート保証をより目立つ形で打ち出してみたところ、実際に成果が出ました。調査結果と施策の理論が一致し、非常に効果的な施策になったと思います。

この施策によって、ベストレート保証を非表示にした場合と比べ、最大でCVRが50%改善しました。

浅尾氏:もう一つ印象的だったのは、「フェア情報の表示を簡素化した施策」です。以前は、トップページにたくさんのフェア情報が並んでいて、お客様からすると違いも分かりづらく、「どれを選べばいいのか分からない」と迷ってしまう状況でした。そこで、フェア情報を1つに絞り、「これに申し込むだけ」というシンプルなUIに変更しました。

アンケートから「選択肢が多すぎて迷ってしまう」というお客様の心理的なハードルを把握し、その課題を解消することで、CVRの向上につながりました。こうしたお客様視点での改善が、クリエイティブ面でも良い結果を生んだと感じます。

アンケート結果による施策

アンケート結果による施策

前年同期比の申し込み数120%と社内評価

――全体的な成果はいかがでしたか。

安達氏:申し込み件数について、4月と5月の実績を前年同時期と比較すると、120%以上になりました。大きな成果が出ていると感じています。外部媒体に依存せず、着実に自社サイト経由からの申し込み数を増やすことができています。

実施したシナリオや施策の数も、リニューアル前と比べて大幅に増加しました。PDCAサイクルを回しながらテストを重ね、効果の高い施策だけをしっかりと見極めて実施できました。

浅尾氏:公式サイトでしっかりと成果が出ているので、他のペイドチームの外部媒体でも同様の施策を展開できるのではないかと検証を求められ、「他の媒体でも早く実証してほしい」といった期待の声が上がっています。

One to Oneマーケティングへの進化と今後の展望

――今後の自社サイトにおける展望について教えてください。

浅尾氏:引き続き、CVRの改善を目標に取り組んでいきたいと考えています。これまで「ベストレート保証」の施策が大きなインパクトをもたらしましたが、今後はそれに続く「第2のベストレート」のような、さらに効果的な施策を生み出していきたいです。

これにより、50%以上のスキップ解除改善率を実現でき、お客様の不安解消やサブスクリプション継続、売上増加につながりました。

また、今後はOne to Oneマーケティングのような今まで以上にお客様ごとに最適化された体験を提供できると考えています。例えば、ゲストや実際に結婚式を検討しているお客様など、お客様の属性ごとに異なる体験や接客を行い、それぞれに合った情報提供やアプローチをすることで、CVRのさらなる改善を目指します。

さらに、広告の種類ごとに訴求方法を変えてみるなど、さまざまな切り口で検証を進めていくことも有効だと考えています。

安達氏:目標としては、今期中にCVRを2倍にまで引き上げることを目指しています。ベストレート保証の施策で大きな成果が出たことから、同じようなインパクトのある施策をあと2つほど実現できれば、この目標も達成できるのではないかと期待しています。

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ マーケティング本部 広告宣伝部 浅尾 みどり氏

――最後に、Sprocketを検討している方へメッセージをお願いします。

浅尾氏:Sprocketの強みは、PDCAサイクルを回して成果につながるまで、コンサルタントがしっかりと伴走して運用をサポートしてくれる点だと思います。ツール自体が優れているのはもちろんですが、それを最大限に活用するためには、伴走してくれる人の存在が不可欠です。規模に関わらず、導入企業に寄り添って一緒に施策を進めてくれるのは、Sprocketの大きな魅力だと感じています。

世の中には魅力的なツールがたくさんありますが、導入しても半年後には使われなくなってしまったり、「Googleアナリティクスで十分なのでは?」となってしまうことも多いです。

Sprocketは、ツール自体も使いやすく、オープンな設計になっているので、自分で分析しようと思えばできますし、コンサルタントの方に分析結果をまとめていただくこともできます。コンサルティング人材とソリューションの両方が揃っているのは、他にはなかなかないと思います。

斉藤氏:Sprocketには安心して業務をお任せできています。何か気になることがあれば気軽に相談でき、「この数値が少し下がっているようなので対応をお願いします」といった要望にも迅速に対応していただけます。こうしたスピーディーな対応は、企業規模や業種を問わず非常に重要なポイントだと思います。

――本日はありがとうございました。

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