株式会社中国銀行は、岡山県に本店を置き『東瀬戸内経済圏』(岡山県・広島県・香川県等にまたがる広域経済圏)を事業基盤とした地方銀行で、地域の課題解決や地域社会の持続的な発展に貢献し、地域社会と共存を目指した金融サービスを提供しています。本資料では、同行が考える中期経営計画に基づく戦略や取り組みを解説します。
お客さまのライフプランに沿った夢の実現へ。中国銀行が目指すデジタルチャネルの変革とは?
中期経営計画に基づく部門の方針
――まずは貴行の中期経営計画について教えてください。
野北氏:弊行は、現在のグループ経営理念である『地域・お客さま・従業員と分かち合える豊かな未来を共創する』を長期ビジョンに掲げ、長期ビジョン達成のフレームワークとして『豊かな未来を創る取組み』と『経営の土台を創る取組み』の2つを設定し、取り組んできました。
2023年度から2026年度の4年間にわたる中期経営計画「未来共創プランステージⅢ」は、長期経営計画の最終ステージです。ステージⅠ、Ⅱで、ハード面とソフト面を強化し、ステージⅢでは、その成果を発揮するとともに、新たな挑戦に取り組んでまいります。
株式会社中国銀行 デジタル・リテール営業部 担当部長 野北 伸和氏 |
野北氏:その中で3つの成長戦略を掲げており、(1)地方創生SDGsの『深化』、(2)イノベーションの創出、(3)グループ経営基盤の強化があります。
デジタル・リテール営業部では、全体的に関わっていますが、中でも、(1)地方創生SDGsの『深化』の取り組みにある、お客さまのライフプランの実現の支援と、(2)イノベーションの創出の取り組みにある、次世代チャネル・デジタル人財育成の推進を中心に取り組んでいます。
――デジタル・リテール営業部の具体的な方針や取り組みについて教えてください。
野北氏:法人のお客さまについては、「お客さまのステージや経営課題に応じたタイムリーなアプローチの追求」を掲げ、個人のお客さまには、「お客さま体験の向上として、パーソナライズによるタイムリーで最適な提案機会の創出」を掲げております。
それらを達成するために、「次世代チャネルへの変革」、「データベースマーケティングの強化」、「データ分析人財の育成」など、さまざまな施策に取り組んでおります。
「未来共創プラン」について |
対面から非対面への営業スタイル変革
――中期経営計画に取り組まれる以前の状況について教えてください。
岡本氏:これまでの銀行の営業スタイルは対面が主流でしたが、お客さまのうち対面でお会いできるのは、10%程度であり、多くのお客さまと接点を持てていない状況が続いていました。多くのお客さまにアプローチするためには、対面では限界があり、非対面でのチャネルの構築が必要でした。
株式会社中国銀行 デジタル・リテール営業部 調査役 岡本 俊彬氏 |
岡本氏:対面でアプローチできないお客さまに情報を発信するために、MAツールを導入し、メール、SMSでアプローチできるチャネルを整備しました。
また、Web接客やATMでのコマーシャル配信、ちゅうぎんアプリ内でのレコメンド配信、法人ビジネスポータルなどのチャネルを構築していきました。
さらに、ちゅうぎんアプリで一部の手続きをアプリ内で完結できるようにしたり、非対面での営業拠点を新設するなど、認知から契約までを非対面で完結できる体制を整えサービスを拡充してきました。
その結果、対面と非対面合わせてアプローチできるお客さまの割合を90%まで引き上げることができました。
対面および非対面チャネルでアプローチできるお客さまが90%に増加 |
――「データベースマーケティングの強化」、「データ分析人財の育成」についてはいかがでしょうか?
岡本氏:「データベースマーケティングの強化」においては、「次世代チャネルへの変革」により、多くのお客さまにアプローチできるようになりました。それに伴い、ちゅうぎんアプリ内でのクリックや、メールの開封ログ、口座情報、取引情報など、多くのデータが蓄積されるようになりました。
よりお客さまのニーズに沿った提案を行うため、これらのデータをフル活用し、行内でデータ解析を行いました。例えばカードローンに興味がある人はどんな人なのかを分析し、15個以上のニーズモデルを作成しました。これにより、アプローチの質を向上させることができました。
「データ分析人財の育成」については、よりニーズに沿った情報の配信を行うために、ニーズモデルを作成したり、機械学習等の高度なデータ分析を行いながら、データ分析ができる人財を育成しています。
デジタルマーケティングの課題と解決策
――デジタルマーケティングの取り組みの中で見えてきた課題について教えてください。
菅井氏:非対面チャネルを構築したことで、多くのお客さまにアプローチすることが可能になり、サイトへの誘導もできるようになりました。しかし、サイト誘導後のフォローが不十分で、メールやSMSで商品・サービスの紹介ページに誘導するだけで終わっていました。
既に導入していたMAツールにあるオプション機能を使ってWeb接客を試みたものの、銀行内にはノウハウやリソースが不足しており、具体的な施策がわからず、法人のお客さまへのキャンペーン案内しかできていない状況でした。
また、お客さまがどのような課題を抱えてサイトを訪れているのか、どのような施策が効果的なのかを把握できていない状態でした。
さらに、デジタルマーケティングに関しても、メンバーにノウハウが不足しており、施策を考えるのが難しい状況でした。中途採用で入社した一部の担当者だけが知識を持っており、他のメンバーはどのようにデジタルマーケティングを進めていくべきか、ロードマップが描けていない状態でした。
株式会社中国銀行 デジタル・リテール営業部 主任 菅井 浩文氏 |
――その課題に対して、Sprocketで解決できると思った理由を教えてください。
菅井氏:Sprocketを選んだのは、Webの行動履歴を分析し、どのページでお客さまが離脱しているのかを把握し、その課題に対する具体的なアイデアを提供していただけるためです。
また、Web分野と地方銀行の施策に関するノウハウを持っており、様々な提案をいただけることや、運用面を任せられることも大きな魅力でした。
さらに、Web接客以外にもデジタルマーケティングに関する幅広い知識を提供してくれる点も評価しました。単に認知を増やしたり、キャンペーンの告知を行うだけでなく、より深い顧客体験の改善の可能性を感じていました。
アプリダウンロード率2.5倍、非多面チャネルの活用促進
――課題を解決した施策、これから予定している施策を教えてください。
菅井氏:「非対面チャネルの拡充、活用促進」、「デジタルマーケティングのスキル強化」、「パーソナライズ&タイムリーの実現」の3つを重点的に進めています。
非対面チャネルの拡充、活用促進
菅井氏:まず、非対面チャネルの拡充、活用促進では、(1)アプリダウンロード促進(2)ローン申込促進施策(3)NISA申込促進施策(4)デビットカード申込促進施策(5)各種キャンペーン施策 を実施しました。その中でも特に、アプリダウンロード促進は最も効果的で、アプリダウンロード率がWeb接客導入前に比べ2.5倍と大きく向上しました。ページごとにお客さまの訪問される目的が当然違うため、適切なバナーを表示することで、大きな効果を実感できました。
非対面チャネルの拡充、活用促進 |
栗本(Sprocketコンサルタント):お客さまがご覧になっているページや、そのページに到達した経路によって、お客さまが求めるコンテンツは変わります。この点を踏まえてメッセージを出し分けることで、訴求力を高める実績を上げることができました。その結果、どのようなお客さまがいて、どのようなコンテンツを求めているのかについての示唆を提示することができました。また、定例ミーティングの場でお互いにディスカッションを重ねることで、ユーザーの理解度を深めることができました。
Sprocket コンサルタント 栗本 孝憲 |
デジタルマーケティングスキル強化
――デジタルマーケティングスキル強化に向けて、分析スキルの向上支援とGoogle Analytics 4(GA4)の利用支援を実施させていただきました。いかがでしたか。
菅井氏:分析面ですと、ご支援いただいた後に、Sprocketのツールを活用し、サイトの経路分析やヒートマップを用いた詳細なデータ分析ができるようになりました。これにより、ユーザーの行動を詳細に把握し、どこで離脱が発生しているのかを明確にすることができるようになりました。特に、ランディングページ(LP)の改善に役立てており、データに基づいた意思決定が可能になりました。
岡本氏:GA4の利用支援では、以前は、広告代理店から提供されるレポートを確認することしかできませんでした。しかし、GA4の利用支援をいただいた後は、データを自分たちで分析し、広告の効果を自ら評価できるようになりました。そのため、Web広告の最適化に向けた具体的な施策を検討することが可能になりました。
今後は、GA4の設定を進めて、全体の流入から最終コンバージョンまでの流れを可視化していく予定です。毎月のデータを自分たちで確認し、すぐに対応できる体制を目指しています。
デジタルマーケティングスキル強化 |
パーソナライズ&タイムリーの実現
――これから予定している施策についても教えてください。
菅井氏:よりパーソナライズ&タイムリーの実現を目指して、高度なデジタルマーケティングを実施するにあたり、いくつか新しい取り組みを計画しています。
具体的には、SprocketとMAツールとの連携も視野に入れて、進めています。ただし、いくつかの課題があるため、もう少し時間がかかりそうですが、Sprocket様にもアドバイスをいただきながら進めています。
今後の目標は、サイトに訪れるお客さま一人ひとりに合わせた接客を提供することです。特に、顧客データの連携を通じて、よりパーソナライズされた体験を提供したいと考えています。
―――パーソナライズされた体験を提供するためにはITP*によるCookie規制がハードルとなりますが、対応についてはいかがでしょうか?
菅井氏:あるAさんというユーザーを、再訪時にも同一ユーザーであると識別して接客したく、SprocketのITP対応機能を利用する予定です。これにより、Cookieの保持期間を1日から365日まで伸ばして同一ユーザーとして認識できるようになります。
さらにトップページやインターネットバンキングのログインページなど閲覧数が多いページでの施策が効果的であることがわかってきましたが、閲覧数の多いページは取り合いになるだろうと想定しています。その対策として、Web上の行動履歴や顧客属性を活用し、対象セグメントを絞ることで、効果的な訴求を行いたいと考えています。
法人向けの施策については、これまで個人向けに行ってきたことを参考にしながらMAツールを活用し弊行で実践してみましたが、設定も含めてかなり大変だったので、やはり法人もSprocketにお願いしたいと考えています。
パーソナライズ&タイムリーの実現 |
- *ITP(Intelligent Tracking Prevention):AppleがSafariブラウザに導入したサイトトラッキング防止機能
顧客データ活用によるOne to Oneの実現
――今後の展望を教えてください。
野北氏:中国銀行のサイトでOne to Oneのコミュニケーションをしていきたいです。また、いずれは、顧客体験の改善に対する考え方を自分たちで理解し、施策を実行できるようになることを目指しています。さらには、GA4(Google Analytics4)の勉強やWeb上の帳票作成を通じて、データに基づいた施策を自ら立案し、PDCAサイクルを回せるようにしたいと考えています。
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――最後に、Sprocketの導入を検討している方へ向けてひとことお願いできますか。
岡本氏:Sprocketには、ページごとの施策だけでなく、サイト全体の改善に関するサポートもいただいています。特に、A/Bテストで施策の結果を明確にすることの重要性や、GA4の研修プログラムなど、Webに関する知識を提供していただいている点、そして些細な質問にも迅速に対応していただいている点などが、弊行としては非常に助かっています。Web接客に限らず、サイトのあらゆる顧客体験の改善において伴走していただけるので、それを求める企業にとって、Sprocketは信頼できるパートナーであり、非常におすすめです。
――本日はありがとうございました。
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