AI分析の活用でECサイトの購入率が4倍に!事業貢献につながる示唆出しと打ち手の提案

ECサイトアパレル

株式会社アートフィアー 様

株式会社アートフィアーは、兵庫県豊岡市の伝統的な鞄製造技術とモダンなデザインを融合させた高品質な鞄・革小物ブランド「ARTPHERE」を展開しています。同社は生成AIを活用した顧客行動分析により、データに基づいた商品詳細ページの改善や回遊性向上施策を実施しました。その分析と施策、成果について、同社のEC課 瀬戸 孝哉氏に詳しく伺いました。

イメージ:高品質な鞄・革小物ブランド「ARTPHERE」

高品質な鞄・革小物ブランド「ARTPHERE」

――まずは貴社のブランドや特徴を教えてください。

瀬戸氏:私たちの会社がある兵庫県豊岡市は、日本の鞄製造の産地であり、日本各地で脈々と続いてきた「地場産業」の一つです。

弊社は日本とベトナムに自社工場を持っており、お客様に長く使っていただける鞄を製造しています。そのどちらの工場においても”日本品質”を掲げ、妥協なきモノづくりに取り組んでいます。

私たちは日本人の持つ感性で企画し、日本人の技術で作り上げ、日本人の知性で品質を管理する、そんなこだわりを持った会社であり続けたいと思います。

日本航空株式会社 CX本部 顧客チャネル企画部 デジタルCX戦略グループ グループ長 下川 朋美氏

Tondo fit ダレスバッグパック / noble 二つ折りウォレット

顧客層や購入行動パターンを把握することが課題

――ECサイトの運営において、当時の課題を教えてください。

瀬戸氏:当社ECサイトの課題は、各シリーズごとに異なる顧客層や購入行動パターンを把握することでした。特に商品詳細ページで訪問者が多いにもかかわらず購入に至らないケースが目立ち、その原因を特定することが難しい状況でした。

従来のアクセス解析ツールでは、顧客がどのような意図で商品ページを閲覧しているのか、どの要素に反応して、購入に至っているのかといった詳細な行動パターンを特定することができませんでした。また、各ブランドごとに顧客の特性が異なるため、一律の分析と施策では効果が限定的でした。

そこで、生成AIを活用した顧客行動分析ツール「Sprocket Insights(スプロケット インサイツ)」の導入を決め、商品ごとに「どのような顧客がどのようなページを見て、どこで購入を決断するのか」詳細に分析できるよう体制を整えました。

特に注目したのは、ページ内のコンテンツごとに購入貢献度がわかる「コンテンツ貢献度分析」や顧客一人ひとりの行動を時系列で把握できる「N1分析」など、顧客の具体的な行動パターンを可視化する機能と、生成AIによるデータからの示唆出しと改善提案機能です。

生成AIによる顧客行動分析と改善施策

――実施した顧客行動の分析や施策について教えてください。

瀬戸氏:生成AIによる顧客行動分析から、さまざまな気づきが得られています。今回は、その中でいくつか顧客行動分析とそのデータに基づいた施策について、ご紹介します。

主力商品のセグメント特徴分析

瀬戸氏:主力商品である「Noble」「Tondo Fit」「RAIZON」の閲覧セグメント別に、ページの閲覧割合や平均滞在時間などを分析しました。

分析の結果、「Noble」閲覧セグメントでは、回遊回数が商品の中で圧倒的に多いにもかかわらず、購入率が低いことが判明しました。原因を調査したところ、平均滞在時間の短さとコンテンツの少なさが浮かび上がりました。商品の特徴や使い方を十分に伝えきれていないため、顧客が満足せずに離脱しているという仮説に至りました。これを踏まえ、滞在時間を延ばすことで、購入率の改善につながる可能性を考えました。

Sprocket Insightsの生成AIによる提案に従って、商品詳細ページに「デザインのポイント」「生地のポイント」「使用時の便利さ」「現金がどれだけ入るか」などのコンテンツを追加しました。

この改善により平均滞在時間が前月比で約2倍に改善し、クーポン施策との相乗効果もあり、Nobleシリーズの購入率は4倍に向上しました。

主力商品のセグメント特徴分析

主力商品のセグメント特徴分析

セグメントユーザーのN1分析

瀬戸氏:メンズバッグの中で、Tondo fit ダレスバッグパックが最も閲覧数が多い商品です。その商品ページを閲覧した顧客のN1分析を実施しました。今回、50名分のN1データを収集し、その行動傾向から示唆出しを生成AIによる「Sprocket Insights」で行い、改善点を導き出しました。

その分析では、Tondo fit ダレスバッグパックを閲覧した多くの顧客が、同じ型のレザータイプの商品(Tondo Leather ダレスバッグパック)にも関心を示していることが明らかになりました。

つまり、機能性とデザイン性の両立を求め、複数商品を比較検討している顧客に対して、レザータイプの商品も掲載することで、回遊性が上がるのではないかと考えました。

これらを踏まえ、Tondo fit ダレスバッグパックの商品ページ内に、Tondo Leather ダレスバッグパックの商品も同じページ内に関連商品として掲載するという改善策を実施しました。

この施策により、回遊性が大幅に向上し、Tondo Leather ダレスバッグパックのPV数は広告費をかけずに前月比約50%増を達成しました。

「顧客が辿っている経路は事実です。こういう動き方をしているからこうします」と説明すると、社内への説得力も増しました。

セグメントユーザーのN1分析

セグメントユーザーのN1分析

コンテンツ貢献度分析

瀬戸氏:商品詳細ページの画像、テキスト、ボタンなどの要素が購入にどの程度影響しているかを可視化しました。「Noble」シリーズでは、カラータグの購入貢献度が高く、色味を選択する顧客は購入意欲が高い傾向が見られました。

またLINE友だち追加のコンテンツも、購入貢献度が高く、LINE友だちに興味がある顧客は企業発信コンテンツに魅力を感じている傾向がわかりました。

さらに、サムネイル商品画像エリアのコンテンツでは、次へと促すスライダー矢印のクリック数が非常に多く、サムネイル商品画像を気になって見ている傾向がわかりました。この分析により、商品画像の重要性と、顧客が複数の画像を確認したいというニーズが明らかになりました。

コンテンツ貢献度分析

コンテンツ貢献度分析

瀬戸氏:これまでの事例以外でも、さまざまな気付きを生成AIによるデータ分析から得られています。これまで、商品ページの改善は主に経験や感覚に頼る部分が大きく、効果測定も難しい状況でした。生成AIを活用したSprocket Insightsの導入により、具体的なデータに基づいた迅速な改善が可能になり、その効果も明確に測定できるようになりました。

今後はデータ分析から施策改善まで一気通貫で実施

――今後の展望を教えてください。

瀬戸氏:生成AIによる顧客行動分析は、当社の想像以上の洞察をもたらしました。顧客の行動を深く理解し、その理解に基づいて的確な改善を行うことの重要性を再認識しました。今後も継続的にAIデータ分析を活用し、顧客満足度と売上の両方を向上させる取り組みを続けていきたいと思います。

また、単価の高い商品をメインに強化していく戦略にシフトしていき、各ブランドの目標購入率を達成すべく、改善施策の部分では、Sprocket Personalize for Webを導入し、データ分析から施策改善まで一気通貫で、目標に向かってチャレンジしていきたいと考えています。

――本日はありがとうございました。

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