サイトのリニューアルで実現を目指すセカンドストリート式のOMO
物価高、SDGsなど、お客様の価値観が変化し、リユース市場が活性化する中、企業は業態の変革が求められています。株式会社セカンドストリート(以下、セカンドストリート)を傘下にもつ株式会社ゲオホールディングスでは、ネットワークリテイラーとして、セカンドストリート式OMOを実現するために様々な取り組みを行っています。本資料では、サイトリニューアルの事例をご紹介しながら、成果や工夫点などを解説します。
――まずはセカンドストリートについてと、竹中様の業務について教えてください。
竹中氏:セカンドストリートは、株式会社ゲオの中で展開するリユース事業です。「リユースを文化に」というミッションを掲げて、それをどう実現していくかということを考えています。リユースというとCtoC市場を連想するかもしれませんが、私たちは業界トップクラスの店舗網を生かして、CtoCでは得られない有意義な体験を提供する「ネットワークリテーラー」を目指しています。
――セカンドストリート以外にも担当されているのですか?
竹中氏:現在、7割ほどはセカンドストリートです。残りはグローバル化や越境ECまわりも少し担当しています。私個人の大きなミッションは「Webを使って新しいことをやっていく」ことです。現在はセカンドストリートを中心にプラットフォームを整理しつつ、中期三か年計画を作っています。
――「リユース」についてもう少し詳しく教えてください。
竹中氏:2030年までに日本の小売市場は現在よりも縮小するという予測があります。一方で、リユース市場は成長が見込まれています。世界的にも「SDGs」や「サステナビリティ」への関心が高まっていて、日本よりもさらに高い成長が見込まれます。
世の中のニーズが高まる中で、一次流通から二次流通への移行は着実に進んでいきます。一次流通が縮小するのであれば、メーカーとも協力しながら二次流通を盛り上げて日本の小売りを盛り上げていきたいという思いと、グローバルにも出ていけるような動きをしていきたいと考えています。
――セカンドストリートは、Webと店舗がありますね。いわゆるOMOなのでしょうか?
竹中氏:そうとも言えますが、一般的なOMOとは異なる点も大きいです。リユースの商品は一点物なので、同じ商品を別の店舗で買うということはできません。「どの店舗に在庫があるか」が大事で、取り寄せるのにも送料がかかります。これがビジネス的な課題のひとつで、一次流通と同じようなOMOは難しいところです。
――すると、どのような取り組みをされているのでしょうか。
竹中氏:「売る、買う、巡る(めぐる)」と僕らは言っているのですが、売ると買うの両方をやってほしいし、店舗や商品も巡ってほしい。この循環を作ることが現在の大きな目的です。
――売る人と買う人の比率はどれくらいなのでしょう?
竹中氏:弊社はCDPを活用して顧客分析をかなりしているほうだと思いますが、売る人と買う人は完全一致せず、基本的には別の人なんです。属性だけでなくペルソナ分析などに加え、どこでどのような人が、何を買っているかなども分析した結果、新品を買う人はリユースに売っていただけますが、リユースで買う人はさらにそれをリユースにはあまり売りません。また、白シャツが好きな人はリユースはあまり利用しないとか、そういう細かいデータはたくさんあります。
「売る人と買う人は完全に一致するわけではないが、それでも売り買い両方する人の比率を増やしていきたい」というのが目指すところです。Webと店舗それぞれで使いやすいサービスにしていくことはもちろんですが、どういう人が、どんな行動を取った人が売り買い両方をしてくれるのかという行動解析は、進めると面白いだろうと思っています。
白坂(Sprocketコンサルタント):分析はたくさんされていますよね。ここでの行動解析とはどのようなものなのですか?
竹中氏:売る人、買う人それぞれに「前触れ」のようなきっかけになる行動があるはずで、そこが面白いところです。例えばアパレルだと、ボトムスを買う人はロイヤルカスタマーになりやすいとかの傾向があります。
――そうした行動分析はSprocketも得意とするところです!
竹中氏:はい。そうした分析で得られた仮説からECサイトをリニューアルしようという話になり、リニューアルするのであれば、あらゆることを感覚でなく数値化して捉えていきたいと考え、深田さん(CEO)に相談したのがSprocket導入のきっかけです。
セカンドストリートのECサイトリニューアルに携わっている主要なメンバーは10名ほどですが、分科会のメンバーを含めると50人ほどがいます。皆考えていることが違うので、それをまとめるためにも数値化が必要でした。
――それでは今回のリニューアルについて聞かせてください。
竹中氏:一番の目的は「売る・買う・巡る」の回遊性です。前提として「売る人と買う人は別の人」というデータがありますので、それぞれのサイトでの離脱ポイントに手をあててコンバージョンを向上させつつ、「売る」と「買う」で導線を設計し、お互いのサイトを行き来しやすくしました。
――リニューアル前にはどのような準備をしたのですか?
竹中氏:私はECサイトのリニューアルをこれまで20回以上経験していますが、これまで開発の優先度を決めるのに苦労してきました。関係者にはそれぞれの考えや思いがあり、声の大きさだけで方針を決めるわけにはいきません。
それで今回は実データにもとづいてあるべき機能を実装するため、Sprocketを使ってメニューや導線などの改善効果を事前に検証しました。「この改善を行えばこれくらいの効果が見込める」という前提があれば、関係者も納得します。例えば大きなところでは、販売と買い取りのサイトを行き来するメニューまわりですね。
白坂:ECサイトと買い取りサイトのユーザー行動経路を分析した結果、お互いのサイトを行き来するユーザーが非常に少なく、導線に課題があるのではと感じました。そこでN1分析も参考に分析を進めると、サイト内で迷っているような動きが見られました。それで「買いたい」「売りたい」といったユーザーの中にある言葉でわかりやすくメニューを用意することで、つまずきを解消できるのではと考えました。
Sprocketのシナリオで実装したメニューでは、両方のサイトを閲覧した人が元のメニューの2倍に増加しました。これは狙いどおりともいえる大きな成果だと思っています。
――導線以外でリニューアルのポイントはありますか。
竹中氏:本番実装前に効果検証をしたものだと、あとはリユース商品のサイズ情報の付加があります。リユースの楽しさって、商品の豊富さを感じることですよね。でも商品ごとの情報を増やすと、画面内に見える商品数が減ってしまいます。また、一般的にはPVや滞在時間が減ると、CVRも下がる傾向があります。
「限られたスマホ画面の中で、サイズ情報を付けたほうがいいかどうか」は社内でずっと議論していて、ただ商品ごとに動的に付くものですから効果検証をするのが難しく、これまでできていなかったことです。でも、SprocketならA/Bテストで簡単にテストができますよね。こうした効果を数値化して検証できるところも、Sprocketを導入した理由です。
白坂:リニューアル前のサイトで各ページの数値を確認したところ、カテゴリーページや検索ページでの離脱が多く、CVRが低いことがわかりました。これは「ユーザーは自分に合うサイズを見たいが、うまく探せずにあきらめて離脱している」という可能性が考えられます。
実際にSprocketでサイズ情報の表示と非表示を出し分けてテストしたところ、サイズ情報を表示しても全体のCVRは下がらず、商品一覧ページと商品詳細ページを行き来するPV数は減少しました。「滞在時間が下がったのにCVRは下がらなかった」というのは、お客様が迷う時間が減ったということを表していて、とても良い結果だと捉えています。
――リニューアル直後のトラブルなどはありませんでしたか?
竹中氏:リユースに限らず、UI/UXが変わると思うように使えず離脱する人が増えるのが当然です。弊社もお問い合わせが増えることを想定して、コールセンターは通常の1.5倍体制で備えていました。そこで白坂さんからチュートリアルシナリオを提案していただきました。
白坂:リニューアルしたポイントをご案内するシナリオですが、タイミングなどかなりテストを重ねましたね。案内はするけれども、お客様の体験を考えて表示ステップを増やしすぎないようにも工夫しました。
竹中氏:総合のトップと、「買いたい」のページでも微妙にメッセージが違うんですよね。これは面白いですよね。
何もしないと、リニューアル後のコンバージョンは当然下がってしまうものです。それがSprocketの提案で、下がるどころかCVRは元の数値から4%アップしたわけですから、やはりやらなければならないコミュニケーションなのだろうなと思います。
白坂さんから提案のリストをいただいて「これは絶対にやったほうがいい」とおっしゃるので、そんなに言うのならとお願いしたら、予想以上の結果になりました。社内では出てこない施策も提案していただけるのは、社外の方の力を借りるメリットですね。
――Sprocketをリニューアルでも活用していただけるのはうれしいです。
竹中氏:行動解析して流動性を上げていくという観点で考えると、リニューアルの前後は必ずデータの変動を見たほうがいいですね。ただし、社内だけでは絶対に見切れません。お客様から問い合わせがあって初めて気付くものです。そこをSprocketにカバーしていただけるのは助かります。
白坂:サイトのリニューアル前後で、ユーザー数やCVRはもちろん、あとは回遊率や離脱率など、あらゆる数値の変動をチェックしました。それで気付くこともけっこうありました。
竹中氏:Sprocketが他社と違うところは、指摘するだけでなくすぐにカバーするシナリオも実装してくれるところですね。仮にリンク切れが起きていても、すぐにお客様が迷わないような導線を用意してもらえます。
白坂:リニューアル後は、検索ボックスのプレースホルダ(初期状態で入っている文字列)でもシナリオを実施しましたね。
竹中氏:そうですね。プレースホルダは、社内ではなかなか気付けなかったと思います。あれはどうやって気付いたんですか?
白坂:Sprocketのロイヤルティ要因分析でリニューアル後の各要素の貢献度を見ていたら、サイト内検索の貢献度は高いが、行動率が不自然に低いのが目につきました。本来であれば商品の検索の行動率はもっと高くてもいいはずなのに不思議に思い、実際にサイトを使ってみたところ、検索ボックスに入力例がないことに気付きました。
サイト内検索のような機能は、使い方さえ知ってもらえればコンバージョンに大きく貢献します。それでプレースホルダ内に入力例を表示させるシナリオを実装したところ、それだけで購入改善率が3%向上しました。
竹中氏:こんな小さなところで差が生まれるんですね。数値で効果を実証できたので、こちらもサイトの機能として本番実装しました。
白坂:リニューアル前と後でユーザー数とCVRの推移を比較したところ、季節による差もありますが、リニューアル後はどちらの数値も順調に上昇傾向にあります。昨対比で見ると1.2倍から1.4倍ほどにアップしていますね。
――ゲオホールディングス様は多くのツールを導入していらっしゃいますね。
竹中氏:ツールやコンサルなど、全部含めると100社は超えていると思います。でも実は、Sprocketだけ社内の担当者がいないんですよ。
――それはどういうことですか?
竹中氏:基本的には、コンサルにしてもツールにしても社内で窓口となる担当者がいます。でもSprocketの担当者はいません。なぜなら、責任者は白坂さんがいるからです。何かあったら、Sprocketが責任を持ってすぐにカバーしてもらえると信じているからです。
社内担当者を置かない理由はいくつかありますが、1つはツールに担当者を付けてツールの使い方を学ぶと、いろいろな機能を使いたくなってしまうものです。過去に多機能なCX改善ツールを社内で運用しようとしたこともありましたが、結局費用対効果の観点では悪くなってしまいました。
もうひとつは、人件費も含めたコストの観点です。ツールを導入してしばらくは、習熟のための研修期間が必要で、それも費用対効果の計算に入れて考える必要があります。例えば半年間の初期コストをかけて、成果につながらないというのが一番こわいところです。
また、その人が行動解析に慣れているかも大事なポイントです。普通の企業だと、行動解析をがっつりやっている人はそこまで多くない。Sprocketは知見のある担当者が、分析から施策の案を出して、実装と振り返りまですべてを一貫してスピード感を持ってやっていただけるので、費用対効果という観点でも優れていると思います。
――他社とSprocketで違うところはどこだとお考えですか?
竹中氏:一番は、提案することは自身できちんと責任を持ってやってくれることです。コンサルだと、調査の結果は出してくれますが、実際の改善はしてくれません。逆にツールを提供している会社さんだと、改善の施策はしてくれますが、分析はあまりしてくれなかったりします。Sprocketは分析を経て、手を動かして改善までやってくれるので、そこが一番のポイントです。私は「顧客体験のアジャイル開発」と言っているんですが、スピード感を持って顧客体験改善の取り組みができていると思います。仮説検証はかなりやっていますよね。
白坂:仮説検証の回数で言うと、A/Bテストは1年で220回くらい回しています。
竹中氏:ですよね。この数を社内でできますか?と考えると、とても無理だと思います。うちは二次流通なので、一般的なECサイトの施策がそのまま当てはまらないことも多くあります。だから、単なる提案だけでなく、実際に数字に責任を持って進めていただけることがありがたいです。
――これからSprocketに期待していることはありますか。
竹中氏:まずひとつは、このままずっと改善し続けてほしいということに期待していますし、やっていただけるだろうなとも思っています。あとはやっぱりアプリですね。店舗に来ているお客様とコミュニケーションをつなげるためには、アプリの存在は外せません。Webの施策に加えて、これからはアプリも検討していきたいと思っています。そこまでできると「Webと店舗」「売る・買う・巡る」がやっとつながってくると考えているので、そこまではやっていきたいですね。
――Sprocketの導入を検討している方にひとことありますか?
竹中氏:Sprocketは、自分たち(社内)のリソースや知識、知見を気にせず、導入した時点で成功することがほぼ確約されています。なぜならくり返しA/Bテストで検証しながら勝つまで改善していくからです。成果が確約されているという意味では、費用対効果の観点でもメリットでしょう。
ただひとつだけ、Sprocketを信じられないのなら、やらないほうがいいかもしれません。以前の弊社もそうですが、社内の意見や要望をベースに接客施策をしても、思うように成果につながらないことは多々あります。Sprocketは、過去の積み重ねと知見があるから成功率が高いのであって、そこを信じられないのであれば成果につなげることは難しいと思います。
――ありがとうございました!
サイトのリニューアルで実現を目指すセカンドストリート式のOMO
物価高、SDGsなど、お客様の価値観が変化し、リユース市場が活性化する中、企業は業態の変革が求められています。株式会社セカンドストリート(以下、セカンドストリート)を傘下にもつ株式会社ゲオホールディングスでは、ネットワークリテイラーとして、セカンドストリート式OMOを実現するために様々な取り組みを行っています。本資料では、サイトリニューアルの事例をご紹介しながら、成果や工夫点などを解説します。
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