ピジョンが取り組む顧客に寄り添うコミュニケーション施策 ECサイトリニューアル後に成果を出す方法
ピジョンでは、システムの乗り換えを伴うECサイトの大規模リニューアルを実施しました。リニューアル後のサイト機能について、ユーザーにわかりやすく案内していく必要がありました。さらに、リピーターを増やすために顧客体験の改善にも取り組んでいました。この資料では、ピジョンがECサイトで実践する「寄り添うコミュニケーション」を通じて顧客体験を向上させる方法について解説します。
――まずはピジョン様の事業内容を教えていただけますか。
黒田氏:私たちは「赤ちゃんとご家族の笑顔を生み出すこと」を目指して、育児・マタニティ用品の製造と販売をしています。ほかにもホームヘルスケアや介護用品、保育事業も行っています。
――ありがとうございます。黒田様が行われていることと、ECサイトの立ち位置についても教えてください。
黒田氏:私はベビーケア事業本部 EC推進部に所属していて、2019年に自社ECが始まったときからずっと運営業務に携わっています。自社EC以外にも、楽天市場やYahoo!ショッピングにも公式ストアがあるので、それらも含めて、広告やSEOでの集客からサイトの分析、改善までを一環して行っています。
ECサイトは、お客様一人ひとりとコミュニケーションを取れるチャネルとして社内でもより強化していきたいと考えています。育児ならではの悩みは人によってさまざまです。例えば寝不足の悩み、乳腺の悩み、搾乳時の手の腱鞘炎など、困りごとに対する解決法や情報を提供して育児シーンに寄り添うことで、赤ちゃんだけでなくご家族も笑顔になれるようなサイトにしていきたいと思っています。
――Sprocketの導入を検討したのはどのような理由だったのですか?
黒田氏:ECサイトの課題として、リピーターを増やしたいということがありました。初回の購入から2回目の購入に至るお客様が少なく、LTVとしては2回以上を目指していきたいと。
育児という性質上、お子さんが成長するとお客様は卒業することになります。そのため新規獲得に広告などを出し続ける必要があるのですが、それ以上に初回のお客様にリピーターになってもらうことが重要な課題でした。
――F2転換とも言われる課題ですね。
黒田氏:サイトに再訪していただくためには、体験がやはり大切です。ECサイトの体験を良くするために何が必要かと考えたときに、やはりオンラインでの接客が必要だと考えました。
他社のサイトでもWeb接客ツールを導入しているのを知っていたので、それなら弊社でも検討しようとなったのがきっかけです。
――Sprocketを選ばれた理由は何だったのでしょう?
黒田氏:他社の説明も受けましたが、基本的には「管理画面はお渡ししますが、運用はそちらでやってください。運用はオプションで付けます」というサービスがほとんどでした。社内に知見もあまりなかったので、自社で運用をするのは難しいなと感じたことと、Sprocketは事例とともに「これくらいの改善が見込める」と期待効果の数字を出してくれたことを記憶しています。
ツールはあくまで手段です。それを使う「脳」の部分が強そうだなと感じたことが、Sprocketの導入を決めたポイントです。
――ピジョン様は、昨年サイトをリニューアルされましたね。リニューアルにまつわる話をお聞きしたいのですが、リニューアルに至った背景を教えていただけますか?
黒田氏:元のシステムだと、体験を良くするための機能を追加したいと思っても費用と工数がかなりかかってしまうという課題がありました。特にカート内の施策が難しかったこと、LINEなどとの連携も弱く、システム自体の乗り換えを検討しました。新しいシステムでは、必要な機能を選んでインストールできるので、その点で柔軟性は上がったと思います。
――リニューアルはどれくらいの期間をかけたのですか?
黒田氏:準備からだと1年くらいはかけたと思います。見た目だけならそれほどでもありませんが、システムの乗り換えですので、お客様のデータも移す必要がありました。
――リニューアルの際、苦労したことはありますか?
黒田氏:システム的な部分は、外部のパートナーに入っていただきながら進めたのでそれほどではありませんでした。しかし、お客様が再訪したときにサイトの見た目や操作、購入の方法もがらっと変わってしまうので「ここが変わりました」ということをどうやってお知らせすればいいのかが悩みでした。
霜村(Sprocketコンサルタント):それでご相談をいただいて、「リニューアル後のケアをやりましょう」というご提案をさせていただいたんですよね。
黒田氏:「サイトがリニューアルしたことで、より便利になりました」というコミュニケーションを取りたかったのですが、こちらではサイトのトップに大きく出すか、メルマガでお知らせするかといったオーソドックスなことしか考えていませんでした。それで、お客様の体験を損なわず、より便利に使っていただくためにどうすればいいかを霜村さんにご相談しました。
――具体的には、どのような施策を行ったのですか?
黒田氏:リニューアル前のサイトをご利用いただいた方が再訪した際に、できるだけ迷わないようなコミュニケーションを考えていただきました。
霜村:リニューアルでサイトがどう変わるかを事前に教えていただき、新しいサイトでは多くの課題が解決されるのだなと思いました。今回は購入促進というよりも、既存のお客様を迷わせず、さらに新しい便利な機能をお伝えできるようにシナリオを考えました。
――実際にリニューアルをしてみて、反応はいかがでしたか?
黒田氏:大きくサイトが変わったので、きっとお問い合わせが増えるだろうと身構えていました。コールセンターの人員やリソースも増やして問い合わせがあったらすぐに対応できる体制を準備していたのですが、想定よりもお問い合わせがかなり少なくて、肩すかしなくらい、波風なくリニューアルを迎えられました。
実装していただいたチュートリアルのシナリオで、サイトの変わった部分や追加した機能を説明いただいたことで、お客様の体験向上にもつながったのではと思います。
――チュートリアル以外に実施したシナリオはありますか?
黒田氏:はい。新しいサイトではお客様に会員アカウントを再登録していただく必要があり、そこも心配な部分でした。
霜村:元のサイトでお客様がどういう行動を取っていたかはデータからわかっていたので、リニューアル後、ログインや再登録時にどのようなエラーが出るかということは想定できていました。再登録が必要な方にお知らせするのとあわせて、登録画面でエラーが起きてしまったお客様をフォローしています。このシナリオは、非表示パターンと比較して登録完了率が115%に改善しています。
黒田氏:リニューアル当時に効果があったものは、そのままお客様を手助けするシナリオとして今も残していますね。
――少し変わったところでは、メルマガの訴求シナリオもありますね。
黒田氏:メルマガでは、クーポンやキャンペーンなどの販促情報だけでなく、育児に役立つ情報もお届けしています。メルマガの配信を希望しないことを選択したお客様に、そのことをお知らせしています。
霜村:新規のお客様へ向けたシナリオでも、ピジョン様らしい「ママやご家族と一緒にお悩みを解決しますよ」という姿勢を訴求することで、メルマガの登録を検討してもらいました。このシナリオも成果が高く、非表示パターンと比べるとメルマガ登録率が179%となっていて、その後も常設しています。
黒田氏:ポップアップは「ページを表示したときにぱっと出てくる」というイメージが強いと思いますが、こういうユーザー行動に合わせた細かいタイミングでの施策も行えるのが助かります。ECシステムのポップアップ機能ではセグメントも設定できませんし、こうした細かい制御もできないので、Sprocketでフォローしていただいています。
――最後は、LINEの友だち登録促進のシナリオです。LINEは以前から力を入れられていたのですか?
黒田氏:サイトをリニューアルしたことを機に、LINEの友だちを増やしてCRMにも取り組んでいきたいという思いがありました。LINEはゼロからスタートして1年ですが、いいペースで友だち登録いただいている感触があります。
霜村:LINEでの配信はリニューアル後の新しい機能でしたので、「既存のお客様は、新機能のLINEを知らないのでは?」という仮説のもと、サイト内のページで案内するだけではなく、シナリオでも積極的に紹介しました。このシナリオも効果が高く、非表示パターンと比較して友だち登録完了率が493%と5倍近くにアップしています。
黒田氏:LINEの友だち登録連携も、新しいシステムだけでは実現できませんでした。先ほどのシナリオもですが、サイトのリニューアルだけではまかなえない部分をSprocketでカバーしていただいた形です。
――Sprocketのコンサルタントの対応はいかがですか。
黒田氏:コミュニケーションのスピードが非常に速く、ご自身の子育て経験を踏まえての提案をいただけることが、非常に助かっています。社内にいるとどうしてもユーザー目線が薄まってしまいますが、ユーザー目線で「良い体験」の仮説を立てていただけることがとてもありがたいです。
もう何年も弊社のサイトを見ていただいていますが、他社様の事例も踏まえて、ピジョンならこういう施策がいいのではないか、という提案を今後もいただきたいと思っています。
霜村:ありがとうございます。コンバージョンや購入単価アップという数値面はもちろん重要なのですが、ピジョンさんが目指されている「子育てに寄り添う」という思いを施策にも生かしていきたいと思っています。
例えば、哺乳びんのカテゴリーページのシナリオで一番押されているボタンは「哺乳びん、どう選んだらよい?」というTipsだったりもします。そういう育児に役立つ情報とか、ちょっとした気づかいや心添えがピジョン様のサイトらしい良さでもあり、良い体験につながると思っています。
ほかには、深夜に来訪されるお客様は、もしかしたら授乳中のママかもしれません。その時間帯に表示するポップアップには『おつかれさまです』といったねぎらいの言葉を添えるとか…そうした企画もいずれやってみたいと思っています。
――ピジョン様が、今後取り組まれていきたいと考えていることはありますか。
黒田氏:やはりロイヤルカスタマーを増やして、全体の売り上げを向上していきたいということが一番です。リピーターになっていただく取り組みもまだまだやりきれていません。
Sprocketさんには「ロイヤルティ要因分析」などの分析力も頼りにしています。行動分析からリピーター化につながる行動を洗い出していただいたところ、「特定のクーポンのページを閲覧するかどうか」がF2転換率に影響がありそうだということで、そのページのUIやデザインの改修を行いました。こうした視点での分析は、これまでやってこなかったことです。
――Sprocketの導入を検討している方へひとことお願いします。
黒田氏:細かいセグメントなどツールの使い勝手はもちろん、コンサルタントの方の改善力が特に素晴らしいと思います。ツールは手段ですので、それを使う「人」と「脳」の部分をとても頼りにしていますし、お客様の体験改善にもつながるのではないかと思っています。
――本日はありがとうございました!
ピジョンが取り組む顧客に寄り添うコミュニケーション施策 ECサイトリニューアル後に成果を出す方法
ピジョンでは、システムの乗り換えを伴うECサイトの大規模リニューアルを実施しました。リニューアル後のサイト機能について、ユーザーにわかりやすく案内していく必要がありました。さらに、リピーターを増やすために顧客体験の改善にも取り組んでいました。この資料では、ピジョンがECサイトで実践する「寄り添うコミュニケーション」を通じて顧客体験を向上させる方法について解説します。
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