外出自粛や景況悪化の影響により実店舗が苦戦を強いられる一方、通販サイトやECモールは大幅に伸長しています。アパレル業界におけるECへの移行は今後も進むと考えられ、実店舗の役割にも変化が生じています。この資料では、パーソナライズや実店舗のような接客をECサイトで実現することによりコンバージョンを改善した企業の事例を実施した施策とあわせてご紹介します。
デバイス別のユーザーの特性を押さえたシナリオで、購入完了率が最大138%に
写真:イーコマース アクション部 部長 細井 将彦氏、オットー事業部門 イーコマース アクション部 塚本 あぐり氏
オットージャパン株式会社は、ヨーロッパを中心に世界30カ国で通信販売事業を展開するドイツ・オットー社の日本支社です。日本では約30年前からカタログ通販事業を営んでおり、ヨーロッパテイストのファッションを日本人の体型に合わせたサイズで販売してきました。最近は、30代女性をターゲットにした新ブランドFABIAを立ち上げ、日本オリジナルの商品の販売も行っています。
根強いカタログ注文。どうやってWeb注文を増やすか
細井氏は、OTTOとFABIAのWebマーケティング活動全般を管理し、塚本氏はOTTOのサイト企画や更新を担当しています。
「Webサイトでの掲載は、基本的にカタログと連動しています。週に1回更新を行っており、売れ筋の商品を押し出したり、商品の訴求を変更したりというよう、カタログよりも柔軟な情報発信を行っています。OTTOの場合、メインターゲットが50代以上の女性ということもあり、今でもカタログからの注文が根強いですが、Web経由での注文をうながすために様々な工夫をしています。例えば、カタログから商品を探せるように、カタログの掲載ページごとに商品を見られるページを用意しています」(塚本氏)
より丁寧な案内をするために、他のツールからの乗り換えを決意
同社では、スプロケットを導入する前に、別のWeb接客ツールを使っていました。なぜ、ツールの乗り換えをすることになったのでしょうか。
「以前使っていたツールは、単発のポップアップしか表示できませんでした。もう一歩踏み込んだ接客が必要だと感じていました。というのも、ユーザーの年齢層が高いこともあり、若いユーザーに比べてECサイトでの購入に不慣れな方が多い傾向があったのです。会員登録や購入のステップで、丁寧な案内があったほうがいいのではと考えました。スプロケットの場合は、シナリオで分岐してご案内できるということで導入を決定しました」(細井氏)
ツールを選定するににあたり、複数のツールを検討しました。決め手はサポートの手厚さでした。
「前のツールでは、私が運用を担当していたのですが、すべて自分で設定、運用しなければならないので、リソース不足の課題がありました。スプロケットの場合は、担当のプロデューサーにおまかせしてシナリオも提案がもらえるということが決め手になりました」(細井氏)
導入では、前のツールで実施して効果があった、ログインをうながすシナリオを継続しました。
「担当プロデューサーに前のツールのシナリオを共有して、シナリオを移行しましたので、スムーズにできました」(塚本氏)
さらにコンバージョン率の改善のために新しいシナリオを実施しました。
「クリエイティブに複数のパターンを用意して、コンバージョン率にどう影響するかをABテストで検証することができました。カウントダウンのタイマーを使ったり、クリエイティブを工夫することで、ユーザーの興味を引き付けられることがわかりました」
Sprocket社では、シナリオの提案に加えて、クリエイティブの制作も担当しました。
「シナリオの提案では、他社の事例や最新情報を踏まえた提案をいただき、『こういうことができるんだ!』という驚きがありました。シナリオの見せ方は、部内の他のメンバーにも共有していますが、メンバーからの反応もよいです。また、クリエイティブ制作もお願いできたので、こちらでの工数がかかることなく、進められたのは良かったです」(塚本氏)
デバイスによって異なるユーザーの動きを発見。最適なシナリオの出しわけで、大きく改善
シナリオを実施してみて、これまでは気づかなかった新しい発見もありました。
「年齢層が高いので、文字を大きく、わかりやすく、と若い世代ならおせっかいに感じるくらいのフォローをシナリオで実施しました。しかし、PCの場合はシナリオを見ない方が多かったり、見た方でもシナリオ非表示の場合と比べて統計的な有意差がでないという傾向が全体的にありました。PCユーザーは、リテラシーが高く、そこまで丁寧な案内は不要だという仮説がたてられました。一方で、スマートフォンユーザーの場合は、効果が高くWeb接客が有効であることがわかりました」(塚本氏)
以降は、PCはシンプルに、スマートフォンは丁寧なシナリオというように、デバイスごとにシナリオのパターンを変化させました。具体的なシナリオの効果としては、ログインを促すシナリオで表示しない場合に比べて、購入完了率はPCは106.1%、スマートフォンでは138%となりました。
「ログインを促すシナリオは、以前のツールでも実施していましたが、長く運用していたため、効果が薄れていました。途中で『ポイント失効』というやや強いメッセージを加えたところ、効果を改善できました」(塚本氏)
もう一つのシナリオは、カタログからサイトを訪問した人に向けて、「カタログから探すのはこちら」という案内をするシナリオです。こちらも、スマートフォンで111.7%の購入完了率となりました。
「Webへの誘導を進めている中、効果が出たのは嬉しいですし、カタログからサイトに来た人には案内が効果的ということを改めて実感しました」(塚本氏)
カートAIで、ユーザーの隠れたニーズを掘り起こしたい
配信前にシナリオをチェックできることも気に入っているそうです。
「以前のツールは、配信前にきちんと確認することができなかったので、配信後にテキストのミスやリンク切れを他の部署のメンバーから指摘されることがありました。スプロケットは、配信条件やターゲットを指定した場合でも、プレビューモードで確認ができるので、ミスがなくなりました」
これからは、スプロケットのAI機能「Autosegment」を使って、カート離脱を軽減するシナリオを自動的に出し分ける「カートAI」に挑戦します。
「どんなことを訴求したら、購入につながるのかを検証してみたいです。例えば、返品・交換が可能だということをご存知無い方が多く、そのメッセージを表示すれば購入完了率が改善するのであれば大きな発見です。ECサイトだけでなく、カタログでも訴求できるメッセージが見つかればいいですね。カタログではお客様の反応はカタログでしかわからないので、スプロケットのデータ分析なら、いろいろなことがわかりそうです」(塚本氏)
事例の解説:オットー様のシナリオで成果が出た秘訣「ジャムの実験」とは?
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