近年、金融・保険業界では業務変革や顧客接点改革などのDX投資が加速しています。非対面チャネルの重要性が増し、オンライン上でもパーソナライズされた情報の提供が欠かせないものとなっています。この資料では、3社の取り組み事例から顧客体験向上のヒントを探ります。
魅力を伝えるための試行錯誤の末、会社としての強みである信頼性を伝えて、資料請求率が120%に
写真:富国生命保険相互会社 小柳氏、遠藤氏、冨士氏
富国生命保険相互会社の前身は、1923年(大正12年)に日本初の相互会社組織として設立された「富国徴兵保険相互会社」。戦後、現在の富国生命保険相互会社に生まれ変わり、生命保険、医療保険、学資保険など、安心を提供する商品やサービスを展開しています。
Webサイト経由の資料請求が激減!その理由は・・・
「“お客さま基点”は、私たちの価値観と位置付けられ、『もし自分がお客さまだったら…』を常に想像しながら、お客さまが安心できるサービスを考えています。保険の営業についても、Face to Faceを基本として、一人ひとりのお客さまにちょうどいい商品やサービスを提案することを心がけています」(小柳氏)
Face to Faceの営業を前提にしつつも、顧客接点の1つとしてWebサイトが重要な手段となる中で、富国生命でもWebサイトを強化してきました。「数ある保険の中でも、学資保険の『みらいのつばさ』は商品の特性がわかりやすく、ニーズが顕在化しています。Webサイト経由での資料請求も順調に増加していました」(小柳氏)
Webサイトの強化策の一つとしてレスポンシブ対応に取り組みました。担当の遠藤氏は次のように振り返ります。「PCよりもスマートフォンでWebサイトを訪問する人が増加したため、2015年よりPCサイトとは別に、スマートフォンサイトを用意しました。しかし、サイトが2つになってしまったことで、更新の手間が倍になってしまいました。そこで、2017年度にWebサイトをレスポンシブ対応し、デバイスに関係なく同じ情報を提供できるようにリニューアルしました」(遠藤氏)
しかし、2017年に入ってから資料請求の件数は最も多かった時期の3割まで減少しました。その理由は、保険料率の改定でした。「料率改定前は、業界内でも戻り率(受取総額÷払込保険料総額×100)が高水準だったため、比較サイトでも上位にランクインしていました。そのため、特別な努力をしなくてもWebサイトへの流入が多く、資料請求にもつながっていました」と小柳氏。
戻り率の低下は、レスポンシブ対応でリニューアルしたWebサイトの公開とも重なりましたが、サイトの改善効果よりも流入減少によるマイナスの影響が大きくなってしまったのです。
「みらいのつばさ」の魅力を伝えるための試行錯誤
「戻り率」という数字でわかる優位性がなくなってしまい、改めて「みらいのつばさ」の魅力をどう伝えたらいいか考え直したそうです。冨士氏は次のように話します。
「『みらいのつばさ』は戻り率以外にもいくつかの特長があります。例えば『兄弟割引』です。こちらは、一人目のお子さまが加入している場合、二人目のお子さまの保険料が割引されるサービスです。お祝い金の支払い方法が2パターンから選べることも特長です。
お子さまの成長にあわせて祝金を支払うS(ステップ)型、大学入学資金に重点をおいたJ(ジャンプ)型から選択することができます。また、契約者に万一のことがあった場合は、保険料の払込みが不要になります。これは貯蓄に比べても大きなメリットです」(冨士氏)
Webサイトから資料請求をした人に対し、お客さまアドバイザーが訪問をして「みらいのつばさ」の魅力を伝えて契約につなげますが、戻り率だけを見てWebサイトを離脱してしまう人が増加したため、Webサイトでもよりわかりやすく商品内容をPRする方策を考えました。このような試行錯誤を続ける中、スプロケットを導入することになりました。
「弊社の役員があるイベントでSprocket社 代表の深田さんのセミナーを聞き、私たちに教えてくれました」(小柳氏)
導入を決めた理由について、遠藤氏は次のように語ります。
「タグを1つ挿入するだけで導入できるので、手軽に使えるということが大きかったです。サイトのページを改修するとなると、時間やコストがかかりますが、スプロケットは簡単に導入できるので、まずは試してみようと思いました」(遠藤氏)
一方、小柳氏は実績を評価しました。「保険業界での導入実績や効果について、具体的な数値で説明してくれました。理路整然とした説明を聞いて、任せてみようと考えました」(小柳氏)
シナリオで伝えたのは会社としての信頼性
導入を決定後、スプロケットの担当者からシナリオが提案されました。そのシナリオは、富国生命の経営理念や、健全性・収益性を紹介するページにユーザーを案内するものでした。
「商品の説明をするものと思っていたので、会社の説明にユーザーを案内するというアイデアは想定外でした。しかし、スプロケットの担当者は保険を選ぶ側の立場の方ですから、ユーザー目線を重視しようということで採用しました」(遠藤氏)
結果、シナリオを導入後、表示しない場合に比べて資料請求率が120%になるという効果が出ています。現時点では、分析・検証のためにサイト来訪者の50%のみにシナリオを表示していますが、今後は表示ユーザーを増やしていきたいとのことです。小柳氏は、スプロケットの担当者について「レスポンスよく対応してくれています。正直にできること、できないことを伝えてくれるので、信頼しています」と評価します。
今後も継続運用し、様々な取組みをしていきたいとのこと。「離脱が多いページでポップアップを出せば離脱率が下がるのか試してみたいです。表現も何パターンか試してみて、最も効果があるメッセージを検証してみたいですね。初訪の人だけでなく、複数回訪問している方向けのWeb接客なども試していきたいです」(遠藤氏)
「まず学資保険でWeb接客を試してみましたが、弊社では総合的な保障などの商品もありますので、活用の場を広げていきたいですね。保険という商品は複雑なので、きちんとした説明をしなければなりません。Webだけで契約まで完結するのではなく、Face to Faceで説明することが重要だと考えています。一人ひとりにちょうどいい保険を届けるために、その後のコンサルティング提案につなげられるような接客なども考えていきたいです」(小柳氏)
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