【生活・雑貨・小売事業者必見】ECサイトの顧客体験改善事例3選
物販系業界は店舗休業などを受けオンラインシフトが進んでいます。顧客接点のデジタル化は今後も加速していくものと思われます。ECサイトにおける顧客体験の改善を実現した先行企業の事例から、実践的な成功のノウハウを解説します。
写真:株式会社ヌーヴ・エイ 大西 理氏、中濱 亮氏
時計のTiCTAC、アイウェアのPOKER FACE、メンズ雑貨のCOLLECTORS、化粧品のROSEMARYなどの専門店を全国展開する株式会社ヌーヴ・エイ。同社では、2017年3月からECサイトにWeb接客ツールSprocket(スプロケット)を導入している。
大西氏が、同社のEC部門の強化をミッションとして入社したのが2016年11月。その直前の6月にECサイトのリニューアルが行われていたため、予算やできることに限りがあった。しかし、ECサイトはいろいろな課題を抱えていたという。
「ECサイトに来訪する人の65%がオーガニック検索経由。ほとんどの方が商品名や型番などを検索しておりニーズが顕在化しています。そのため、会員登録が少なくゲスト購入が多い、カートに入れた後の離脱が多くコンバージョンが低いといった課題がありました」と大西氏は振り返る。
型番で検索してカートに入れたのに、購入しないのはなぜか。それはお客様が商品の価格を複数サイトで比較し、もっと安価で販売しているサイトがあればそこで購入してしまう傾向があるからだ。「価格だけで勝負する自動販売機のようなサイトではなく、他の商品も見てもらい結果として、お客様のLTV(Life Time Value)をあげたい」と大西氏は考えた。時計を見ている人に、同じブランドのメガネやバッグ、財布など他のアイテムを紹介して他の商品を認知してもらい、次の購入につなげてもらうのだ。
しかし、現在のサイトでは、他のブランドや商品への導線が弱い。「今のサイトをそのまま使うという制限の中、できることはWeb接客しかない」と大西氏は考えた。「まずは導入して、お客様をどのように動かせるのか試したかったんです」と説明する。
Web接客という手法のなかで、なぜスプロケットを選んだのか。「実は、前職でスプロケットの提案を受けたことがありました。その時は導入しなかったのですが、Sprocket社の場合はシナリオ提案、分析、改善まで任せられるということを知っていたので、今回導入を決めました」と大西氏。
その理由は、チームのリソース不足が原因だ。新しい商品が入ればデータ登録が必要で、在庫管理もしなければならない、自社サイト以外に楽天やYahoo!などのモールも出店しているのでその管理も必要。ただでさえ、やるべきことが多い上、チームのメンバーも若手が多くスキル不足という懸念もあったという。
導入して約半年、ECサイト本体には手を加えることなく、様々なシナリオを運用している。シナリオは大きく分けると以下の2つになる。
購入を促進するシナリオの1つは、カート投入後のユーザーに、正規品であること、送料無料であることを知らせるメッセージを表示するもの。価格勝負になる中で、カートの離脱を防ぐためのひと押しだ。結果は、表示しない場合に比べて、購入完了率は最大で118%となった。
買い回り促進のために、例えば時計を見ている人にカバンやメガネを紹介するシナリオでは、購入完了率は最大138%となった。 特に成果が大きかったのは、セール品の案内だ。サイトの仕様上、ブランドカテゴリとセールのカテゴリがわかれている。ブランドカテゴリだけを見ていると、セール品があることに気づかない。そこで、セールがあることをWeb接客で知らせた結果、購入完了率は161%に改善した。
一方で、店舗会員のECサイト利用を促すシナリオはそれほど効果がでなかった。「店舗会員IDでログインしてポイント数を確認し離脱するユーザーが多い」という課題から、店舗IDでログインした人に、ECサイトでも購入ができること、ECサイトで購入するメリットなどを伝えた。
結果がでなかった理由について大西氏は「店舗会員IDでログインしている人の多くが、ECサイトで展開のないROSEMARYの会員だと推定されます。ECがないのでメッセージが響かなかったのだと考えられます。ROSEMARY会員には、別の対策をする必要があります」と分析する。結果は出なかったものの、シナリオを実施することで、その課題の対策の絞り込みができたということになる。
シナリオ作成では、Sprocket社の担当者が提案をして、それに対して大西氏や中濱氏のアイデアやキャンペーンを付け加えて行く。運用後は、結果を見ながら修正や新しいシナリオを検討していく。中濱氏は「Sprocket社の提案は、これまでの実績とノウハウを活かした提案なので安定感があります。それに我々の事業のエッセンスを加えているので進めやすいです。レスポンスも早く助かっています」と話す。
大西氏は「自分たちで考えると、お客様をこう動かしたい、というエゴが出てしまう。アイデアをもらったほうが、お客様にとっても心地よい接客ができています」と評価する。
スプロケットを導入したことで、売上への貢献を実感していると二人は口をそろえる。中濱氏は、付随的な効果も感じているという。「以前は、正規品ですか、送料はかかりますか、というお問合わせが多かったのですが、導入以来ほとんどなくなりました。予想外の効果です」という笑顔を見せる。
今後もスプロケットでいろいろなシナリオを試していく予定だ。中濱氏はプレゼント需要にチャンスを感じている。「贈り物をするタイミングで想起してもらえるような施策をしたいですね。他の人だけでなく、自分へのご褒美のようなプレゼントも視野に入れています」 と話す。
大西氏がチャレンジしたいのは「エモーショナルな接客」だ。どういうことだろうか?
「心地よいショッピング体験を提供するのが我々のミッション。似合うか、似合わないか、どの商品がよいか迷う、購入してうれしいなど、店舗での買い物のような楽しさをECサイトでも再現したいです。安いではなく、持っていることがうれしいから買うというようなショッピング体験をWeb接客を通してつくりたいです」とこれからの新しい活用に期待を寄せる。
【生活・雑貨・小売事業者必見】ECサイトの顧客体験改善事例3選
物販系業界は店舗休業などを受けオンラインシフトが進んでいます。顧客接点のデジタル化は今後も加速していくものと思われます。ECサイトにおける顧客体験の改善を実現した先行企業の事例から、実践的な成功のノウハウを解説します。
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