ECを展開する「ダイレクトマーケティング事業者」5つの分類とそれぞれの事情

マーケティングセミナー・イベント

9月7日~9日の3日間、鹿児島にて開催された「ダイレクトサミット2015」に参加してきました。今回はテーマが「ダイレクト」ということで主にECを展開されている事業者さんと、その支援役のパートナーさんが集まる場となっています。日本では初の開催ということで、参加者の方もこうしたサミット系イベントに初参加という方がほとんどでした。

Sprocketもスピーカーの機会を頂いてお話させて頂きました。ちなみにコーポレートカラーの緑のポロシャツを着ています!

写真:ダイレクトマーケティングサミットで講演する弊社代表の深田

ダイレクトマーケティングサミットで講演しました

ダイレクトマーケティングの事業者は大きく分けて5つ


参加して感じたのは、ダイレクトマーケティングの事業者と一言で言っても、会社によってかなりバックグラウンドが異なるということです。それによってデジタルへの取り組みにもかなり差がでてきます。例えばセッション中、テーブル毎にワークショップを実施する機会がありました。テーマが「オムニチャネルを考える」だったのですが、これはその差が顕著に出るテーマでした。

せっかくの機会なので、自分なりにダイレクトマーケティングの事業者の分類を整理してみました。

大きく分けると以下のようなグルーピングになりそうです。

それぞれの特徴、課題などを整理してみました。

単品型の通信販売主体


ネットが登場する前から通信販売として事業を営んできていることが多く、デジタルは販売の1チャネルという位置づけ。店舗はほぼなく、あってもフラグシップ的に数店舗ある程度に留まる。

いわゆる2ステップ型の販売方式を取ることが多く、マスメディアを使っての認知から電話での受注、という販売が過去は主体だったところに、ECという販売方式が加わってきているという経緯。

課題として抱えているのは、ネットでの受注と電話での受注をデータとしてどう紐付けるかということや、コスト構造的にはネットのほうが負担が小さいものの、売上比率としては小さく、特に固定客が電話受注メインであることも多いことから、そう簡単に切り替えるわけにもいかないということ。

また電話ならではのアナログの対応に強みを持っているところもあり、単にコストが高い販売チャネルというわけでもない。経緯上、ECが既存売上を奪うという発想を社内で持たれることもある。

顧客データや販売データを連携させることで、電話・ネットいずれの体験も統合的に展開することで、顧客満足度を高めたり、アップセルの余地はある、と思われるが、そこがスムーズにできているところはまだ多くはない。

この場合、コールセンター側にノウハウがある場合が多いので、Sprocketとしては、そのノウハウをシナリオ化してWeb上で展開したり、またデジタル上での行動を可視化してコールセンター側に渡したりといった点で価値を提供できそうだ。

この場合2ステップをいかに進ませるか、定期購入に引き上げれるかがKPIとなってくる。さらには、商品に対しての思いや作りのこだわり、あるいは効果的な使い方といったコンテンツを提供することでのファン育成も実現していきたい。

総合型の通信販売主体


こちらも通信販売として、ネット以前から事業を営んできており、店舗はほとんどない。品目が多いので、カタログ通販的なアプローチが主体とするところが多く、紙のカタログからはがき・電話での受注という販売手法に、ECが加わってきている。

顧客の分類や、DMを分類別に切り替えるといったセグメント配信の発想を強く持っているところが多く、ECでいうとメール配信などにそうした思想が受け継がれている事が多い。

単品型と同じく、コスト構造と既存客維持のバランスで、ECの立ち位置を考える必要がある。ただ、カタログを送り届けていることで販売チャネルを確保し続けてきたという強みが、ネットの登場により薄れつつあり、ネット専業事業者との競争も強まりつつある。

またテレビショッピング型の事業者もここには入ってくる。カタログ型とはまた違い、個別配信的な発想はないが、「動画」という強力なコンテンツを持っていることがデジタルでも強みになる。

Sprocketとしては、品揃えの豊富さを活かせるような回遊体験を作ることで、購買意欲を高めること、とにかく来訪のきっかけを作ることで接触頻度を増やすことといった点で価値を提供できそうだ。

商品の多さ自体をコンテンツとして見せていけるかが肝になりそう。あとはバイヤーさんの視点や、テレビショッピングなら番組で説明しているタレントさんの視点をコンテンツとして提供したりといった形でのファン育成もやっていきたい。

メーカー主体、その中の1事業


もともと通販をやっていたメーカーと、ECが登場したことで通販を始めたメーカーとがある。もともとやっていたところは、上記単品型に構造がやや似ている。無店舗。商材としては通常小売に卸している商品と同じものを展開している場合と、オリジナルの商品を展開している場合がある。

共通の課題として、通販部門の売上構成比は全体の中ではあまり大きくない場合が多く、通販やECとしてみればそれなりの規模であっても、社内評価的には受けづらい点がある。

そのため売上を上げるということもさることながら、顧客との直接の接点を持っていることを社内の他部門に活かせないかという観点を持っていることも多い。

製品ブランドやコーポレートブランドの自社Webサイトと、ECサイトの運営が分かれていることも多い。そのため、商品キャンペーンなどで自社Webサイトに来たユーザをうまくEC側に流せればいいのだが、自社Webサイト側では商売ッ気を前面に押し出しづらいという発想になることも多く、必ずしもそうスムーズに話が進むわけでもない。

メーカーとしてのビジネスの主体は、小売・流通などに卸していくB2Bモデルであることがほとんどで、社内的にも直販の存在が、かえってB2B営業活動の邪魔になるとみなされていることもある。

Sprocketとしては、やはりメーカーとしてのものづくりのこだわりをもっと伝えていきたい。規模の大きい会社も多いため、実はR&Dにかなり力を入れていたりするなど製品が産まれるまでの過程の中に面白いコンテンツが眠っていることは多く見られる。もちろん通常の単品型と同じような価値提供の仕方もできる。

小売・流通主体、その中の1事業


こちらはもともと店舗を持って事業を営んでいる事業者。店舗は店長に売上責任があることがほとんどであるため、EC事業は直接的にライバル視されていることが結構ある。

この課題を見事にクリアしているのがカメラのキタムラで、「EC関与売上」という指標を持ち出すことで、協力関係を作ることに成功している。僕の知る限りこれがベストプラクティスなので、社内調整の問題はこの概念を取り入れていくことで解消できるのではないか。

売上の主体が店舗側にあるため、EC側としては店舗への貢献をいかに出来るかという点にも視点を広げてデジタルを捉えると本当はいいのだろう。

Sprocketとしては、店舗・ネットのデータ連携ができるインフラが整っていれば、その回遊促進を支援したり、またデジタル上での行動データを店舗側に提供することでオフライン接客支援に貢献したりといったことで役に立てる。

ネット専業


ネットの登場とともに事業をスタートした会社。楽天やアマゾンが代表的だが、ジャンルに特化する形で食品、化粧品、医薬品、ファッションなどいくつかの分野で大手が存在する。事業構造的には仕入れて売っている形態になることが多く、上記総合型に似る。ネット専業であるため、歴史的経緯からの社内調整の必要性といった大変さはない。

Sprocketが提供できる価値も総合型への価値提供と近い。ジャンルに特化している分、商品そのもの以外にも伝えられるコンテンツは持っている事が多いので、そうしたものも合わせて伝えていくことに役に立てる。

まとめ


以上、かなりざざっとですが書き出してみました。

これらが差異を生む要因になっていると思います。

今後、デジタルの活用方法として、単にものを売るチャネルということを超えた使い方はもっと出てきそうです。

以前、ブログでも紹介した「お客様の肌の管理を実質的に行っている化粧品通販の会社さん」(参考:やり手のコールセンター担当者はなぜ急にデジタル部門に異動になったのか?)のようなあり方をすでにやっているケースもあります。デジタル上のサービスとして明示的に接客に踏み込んでいくことで、実質的な囲い込みを強めるという路線がおそらくは各社今後出てくるのではないかと想像できます。

接客に関する活動は、いわばアフターフォローでありサポートなのですが、デジタルを活用することで単純な顧客満足度向上という観点から、戦略的なLTV向上への取り組みとして位置づけることが出来ると思いますし、Sprocketとしても、そうなればよりきめ細かいサービスを展開するためのインフラとしての価値提供ができます。

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