なぜ今「動画マーケティング」なのか? コロナ禍で生まれた新たな顧客体験の形
先日、株式会社マイナビさまの雑誌『Web Designing』から「EC×動画」のテーマで取材を受けました。取材の中で、動画についてこれまで考えていたことが言語化できましたので、頭の整理も兼ねてここで書き出してみようと思います。
※記事掲載は『Web Designing』2021年6月号(マイナビ)
なぜ今、動画マーケティングなのか?
最初は「動画のテーマで、なぜSprocketに?」とも思ったのですが、動画をオンライン接客に活用できるソリューションもリリースしていますし、接客という観点から話題を提供できると思いましたので、取材を受けることにしました。
確かに「動画マーケティング」という単語は、よく見かけるようになった印象があります。しかし、動画自体は情報のフォーマットのひとつにすぎず、それ自体が特に目新しいことではありません。それでは、このタイミングで「動画マーケティング」に注目が集まる理由はどこにあるのでしょうか?
それをひも解くためには、動画の中身やユーザーの受け取り方に踏み込んで考える必要があるでしょう。
結論から言うと、僕自身は昨今の動画活用において「人間味の表現」がポイントになっていると捉えています。
「動画を見る」という体験が変わってきている
2021年5月現在、コロナとともに生活をするようになって1年以上がたちました。在宅で仕事をする人が増え、Zoomなどを活用したオンライン会議が日常化しています。
「動画を視聴する」という体験と、「動画の向こうの誰かとリアルタイムに話している」という体験を同じデバイス上でしているわけです。本来、視聴するのと会話するのはまったく異なる体験のはずですが、「画面越しに眺める」という点ではいずれも動画であることに変わりはありません。
これまでは、自宅でテレビを見るという体験と、会社で会議をするという体験に近接性を感じることはありませんでした。それが、この1年で大きく変わってきています。このような変化は、ユーザーの体験や感じ方にも大きな影響を及ぼしているはずです。
最近の動画の共通点は「生身感」と「編集性の薄さ」
動画というフォーマットが、従来の商品紹介などの使われ方の枠を超えて広い意味を持ち始めていることに目を向けると、見え方が変わってきます。特にこの1年で、動画の中にリアルな人間が出てくることが日常的になりました。
ライブコマースやインスタライブ、Zoom接客など、最近の動画活用における共通点としては、次のことが挙げられます。
- 「生身感」のある人間が出てくる
- 「編集性」が薄い
生身感とは「実際に会える(会えそう)」「知らないどこかの誰かではない」という感覚を指しています。
編集性が薄いとは「その人が自分の言葉で話している」「別の人が書いた脚本に沿っているわけではない」という感覚です。店頭での接客だと自然に行われていることですが、同じような感覚をオンラインの動画に持たせようとするなら、そのような表現を意図的に作り出す必要があります。
人に会いにくい状況が、余計にこうした生身感が求められる要因にもなっているといえるかもしれません。
自宅の「日常性」と店舗の「非日常性」
もう1つの要素として「日常性と非日常性」があります。
自宅からZoom会議をしていると、相手の日常が垣間見えることがよくあります。子供の声が聞こえたり、宅配便が届いたり、背景が明らかに自宅であったりなどです。会議のときはお互いさまなので、それほど気にはなりません。
しかし、例えばZoom接客において、こちらは自宅にいるのに、向こうがきれいにディスプレイされた非日常的な空間にいる状況を考えてみましょう。人間、そんなにうまくオンとオフを切り替えられるものでしょうか?
買い物に出かけるのは、非日常的な行為といえます。店頭で接客する場合、お客さまも店舗スタッフも非日常的な空間にいるので、違和感はありません。オンライン動画で接客を表現しようとするとき、店舗の接客との一番の違いは、お客さまがいる空間にあるのです。
お客さまは自宅でリラックスしているわけですから、動画の内容も生身の人間の「日常性」が感じられたほうが受け入れやすいのではないでしょうか。
生身感のある動画、編集性の薄い動画が増えてきているのは、こういうところにも理由があるのではないかと思います。
自社のお客さまに行うべき動画マーケティングとは?
「人間味の表現」がポイントになっていると考えたのは、このような理由からです。録画された動画だけではなく、Zoomのようにリアルタイムのやりとりが行われる動画も同じ考え方が当てはまるはずです。
逆に言えば、人間味と日常性のあるつながりは、店頭よりもかえってオンラインのほうが作りやすいということが起きてくるかもしれません。
店舗やスタッフ側からしても「そうしたつながりを作るべきお客さまは誰なのか」という視点が出てくるのではないでしょうか。
自社の貴重な店舗スタッフリソースを割り当てるのは、どのようなお客さまであるべきか。購買額の大きいお客さまなのか、それとも自社のことをよく理解してくれるお客さまなのか。良しあしの検証はどのように行えばいいのか。動画を通じた人間味のあるコミュニケーションが、企業とお客さまの関係性を考え直すきっかけになるかもしれません。
「動画マーケティングが流行っているのでうちもやろう」という考え方ではなく、動画がもたらす体験とその先の広がりをイメージした上で「今、自社のお客さまに向けて取り組める動画マーケティングとは何か」を考えてみるのも面白いのではないかと思います。
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